Acrospermum sp. no.1

Acrospermum sp. no.1

Acrospermum sp. no.1.
アクロスペルムム属菌。4月19日撮影。

[特徴]
子嚢殻は落葉裏面に散生する。落葉上に形成された直径 1-2 cm. 程度の白く脱色した円形の病斑内に発生する。病斑周囲に帯線は見られない。 子嚢殻は長砲弾形ないし倒棍棒形、基部はやや括れる。淡色半透明の先端以外は黒褐色。 乾燥している時は扁平に潰れ、表面はやや白粉状にざらついて見える。全体が柔軟な革質で弾力がある。0.9-1.1 × 0.2-0.25 mm. -- 子嚢は長円筒形、先端は丸く、肥厚し、頂孔は盲管状、メルツァー試薬に呈色しない。8胞子を束状(部分的に捩れて縄状)に生じる。 二重壁かどうかは確認できなかった。690-750 × 4.0-4.9 μm. -- 側糸は糸状、隔壁は不明瞭、径 1.0-1.4 μm.、無色のゼラチン様物質に覆われる。-- 子嚢胞子は糸状、無色、隔壁は見られない。ほぼ子嚢と同長、径 0.5-0.7 μm. -- 子嚢殻外面には丸みのある径 5-10 μm. 程度の淡黄褐色で砂粒状の結晶が付着する。 結晶は集合して径 40 μm. 程度の塊状になることが多く、先端付近と基部付近以外に密に付着する。

[コメント]
地上の落葉に生じていた物。落葉はイタドリ (Polygonum cuspidatum) と思われる。 国内では未同定種も含めて数種ほど記録されていて、多犯性の A. viticola Ikata はイタドリにも発生するが、別種と思われる。 Acrospermum 属は今までに Coryneliales, Dothideales, Clavicipitales, Hypocreales, Hysteriales, Ostropales 等さまざまな目に置かれていて、 Dennis の British Ascomycetes. Revised edition (1981) では編集ミスだろう、p. 250(Ostropales として)と p. 427(Pleosporales として)に Acrospermum compressum をほぼ同じ解説で重複して掲載している。最近は独立目 Acrospermales とされている。

[参考文献]
出川 他 (2007): 丹沢大山動植物目録. 微小菌類(予報).
Minter et al. (2007): Acrospermum chilense sp. nov. from Chine and the Acrospermales ord. nov. (Bol. Soc. Argent. Bot. ; 42(1-2), p. 107-112).
Takahashi and Teramine (1986): Zonate leaf spot of mulberry, with special reference to the life-cycle and taxonomy of causal fungus Gonatophragmium mori. (Ann. Phytopath. Soc. Japan ; 52, p. 404-412).

[初掲載日: 2016.05.17]