Acrospermum sp. no.2

Acrospermum sp. no.2

Acrospermum sp. no.2
アクロスペルムム属菌。5月25日撮影。

[特徴]
落葉裏面にやや群生する。子実体の周囲の落葉に脱色や帯線は見られず、表面菌糸は観察できない。子嚢殻は長棍棒形ないし円筒形、基部はやや括れ、底部はやや広がって基質に固着する。 全体が黒褐色、ルーペ下では先端は僅かに淡色に見えるが頂孔は認めにくい。全体が柔軟な革質で弾力があり、表面は平滑でツヤは無く、乾燥時には潰れて扁平になる。650-800 × 150-200 μm. 程度。-- 子嚢は長円筒形、先端は丸く、肥厚し、メルツァー試薬に呈色しない。8胞子を束状(部分的に捩れて縄状)に生じる。370-450 × 3.4-4.2 μm. -- 明瞭な側糸を観察できなかった。-- 子嚢胞子は糸状、無色、薄壁、平滑、隔壁は認められない。径 0.5-0.7 μm.、全長を測定できなかったが、子嚢とほぼ同長と思われる。-- 子嚢殻表面は黒褐色厚膜の屈曲する菌糸からなる。

[コメント]
ホオノキ (Magnolia obovata) の落葉に群生していたもの。子嚢や子嚢胞子は長く曲がりくねっていて、正確な全長が計測できず、種の特定ができないが、 国内で報告されているもの(A. daphniphylli、A. viticola 等)ではなさそうで、手持ちの外国の図鑑類に掲載されているものにも、該当しそうなものが見当たらない。 国内からは、出川 他 (2007) に未同定種としてホオノキ落葉上の同属菌の報告がある。細かい特徴は示されていないが、子実体が "白色" とされているので別種だろう。

[参考文献]
Katumoto (1963): Notes on fungi from Western Japan (6). (Journal of Japanese botany ; 38(1), p. 23-28).
鑄方・人見 (1931): 葡萄の一新病害輪斑病の研究. (日本植物病理学会報 ; 2, p. 357-373).
出川 他 (2007): 丹沢大山動植物目録. 微小菌類(予報)Microfungi (preliminary report).

[初掲載日: 2023.06.03] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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