Ascocoryne sp. no.1

Ascocoryne sp. no.1

Ascocoryne sp. no.1 [Ascocoryne inflata]
ムラサキゴムタケの近縁種。1月4日撮影。

[特徴]
子実体は朽木上に散生あるいは少数が群生する。子嚢盤は肉厚なクッション形、ほとんど無柄でやや広く基質に固着する。 子実層面は平滑あるいはやや皺状、紅褐色ないし淡紫褐色、直径 4-10 mm.、外面はほぼ同色で平滑。全体軟らかいゼラチン質で内実は無色。-- 子嚢は円筒形、先端は肥厚し頂孔はメルツァー液で青変する。8 胞子を初め一列に生じるが後には2列になって先に固まる。160-203 × 8.0-12.0 μm. -- 側糸は糸状、径 1.0 μm. 程度、隔壁があり普通は分岐しない。先端は球状に膨らんで 3.5-6.5 μm. になる。顕著な内容物は見られない。-- 子嚢胞子は長紡錘形でやや左右不対称。無色平滑。内容は中央の核様の部分以外は細かい泡状物と2個の大きな油球が目立つ。16.0-28.0 × 4.8-6.0 μm. 子嚢胞子は後に横に1-3隔壁を生じ両端から発芽する物が多い。発芽後、長さ 50 μm. 程度までの菌糸を伸ばし先端に分生子を生じる。 分生子はほぼ球形、径 2.6-3.2 μm. で数個が数珠状に繋がる。-- 托髄層は無色の細い菌糸よりなる絡み合い菌組織で、ゼラチン質に包まれる。 外皮層は厚さ 100 μm. まで、無色薄壁の多角形ないし亜球形細胞の層からなり、 基部付近の最外面の細胞からは径 1.5 μm. 程度の毛状の菌糸が立ち上がるが共にゼラチン質には包まれない。

[コメント]
秋から初冬にかけて湿った広葉樹の朽木上に発生し、ムラサキゴムタケ Ascocoryne cylichnium と混生することもある。 肉厚なクッション状で花弁状になる事は少なく、肉質は軟らかく側糸の先端が球状に膨らむ点が特徴である。 今までこれが A. sarcoides だと思っていたがどうやら違っていたらしい。 いくつかのサイトで Ascocoryne inflata として紹介されている種と良く一致するが、この学名はまだ正式には発表されていないようだ。

[別図2] 11月13日撮影。

[参考文献]
Baral (2000): Key to Ascocoryne.

[最終更新日: 2010.01.18]