Asteridiella aucubae

Asteridiella aucubae

Asteridiella aucubae (Henn.) Hansford
アオキすす病菌。4月14日撮影。

[特徴]
菌糸は葉の裏面に拡がり、直径 3-7 mm. のほぼ円形黒色の粗い菌叢を形成し、時に融合する。 表在性、黒褐色、厚膜、隔壁があり頻繁に分岐して放射状に拡がり、径 6-8 μm.、菌足をまばらに互生する。 菌足は2細胞、黒褐色、菌糸から斜めに伸び、基部細胞は長さ 7-11.5 μm.、頂細胞は先が拡がった台形ないし不明瞭な3突起がある多角形で径 17-24 μm. -- 子嚢殻は表在性、菌叢中にやや密に生じる。扁平な球形ないしまんじゅう形、黒色、径 200-260 μm. 程度。孔口は確認できない。多数の子嚢を生じる。 殻壁は厚膜で暗褐色の細胞からなり、子嚢殻表面には高さ 20-40 μm. 程度の円錐状突起が密生し、全体で細かい金平糖状になる。突起の先端は鈍頭、僅かに鉤状に曲がるものがある。-- 子嚢は長楕円形ないし長卵形で短い柄があり、やや厚膜、2胞子性。成熟した子嚢を観察できなかったが、未熟子嚢での計測値は 58-70 × 15-23 μm. -- 側糸様の細胞は観察できなかった。-- 子嚢胞子は長たわら形、黒褐色、厚膜、平滑、4隔壁5細胞。隔壁は横にほぼ等間隔(中央細胞がやや広い)に生じ、隔壁部は括れ、両端は丸い。 各細胞に油球を1ないし数個含む。51.0-54.4 × 14.6-18.8 μm.、表面には不明瞭だが比較的厚い被膜がある。

[コメント]
アオキ (Aucuba japonica) の生葉の裏面に生じ、菌叢はほぼ一年中観察できる。 子嚢殻も秋頃から見られるが成長は遅く、子嚢胞子が成熟するのは越冬後、京都では4-5月頃の様である。黄変した落葉上の菌叢でも成熟した子嚢胞子が認められる。 主に葉の表側に生じる Asterina aucubae Henn.(アオキ星形すす病菌)よりも少ないが、同じ葉に発生する事も多い。

[別図2] 5月26日撮影。落葉上の菌叢。

[参考文献]
神奈川県立生命の星・地球博物館菌類ボランティアグループ (2011): 入生田菌類誌資料. 第1巻.
Hansford (1961): The Meliolineae : a monograph. (Sydowia. Beiheft ; 2, 1).
Hansford (1963): Iconographia Meliolinearum. (Sydowia. Beiheft ; 2, 5).

[初掲載日: 2017.05.12, 最終更新日: 2018.06.19]