Cistella grevillei

Cistella grevillei

Cistella grevillei (Berk.) Raschle
キステラ グレヴィレイ。6月15日撮影。

[特徴]
子実体はやや群生する。初め球形、後には椀状あるいは深い皿状から平皿状に開き、径 0.5-1.5 mm. 程度。子実層面は平滑、半透明乳白色からクリーム色あるいは僅かにベージュ色を帯びて見える。 縁は細かい鋸歯状で僅かに内屈し、外面は微毛状で同色、柄は無く、中心で基質に固着する。-- 子嚢は棍棒形、先端はやや円錐状で肥厚し、頂孔はメルツァー試薬で青変し、基部にはかぎ形構造がある。8胞子をほぼ2列に生じる。45-55 × 5.6-6.3 μm. -- 側糸は直線的糸状、無色、先端はやや尖り、分岐は無く、基部には隔壁がある。子嚢と同長あるいは僅かに子実層より突出する。径 1.5-2.5 μm. -- 子嚢胞子は長楕円形あるいは両端の丸い紡錘形、無色、薄壁、平滑、両端付近に細かな泡状の内容物がある。8.6-10 × 1.7-2.2 μm. -- 托組織髄層は無色薄壁の菌糸からなる絡み合い菌組織、外皮層は厚さ 30 μm. 程度まで、無色薄壁の 11-18 × 4-8 μm. 程度の細胞からなる矩形菌組織で、基部付近の細胞は僅かに褐色を帯びる。 最外層の細胞から短い毛状菌糸がまばらに立ち上がり、縁付近で特に顕著。毛状菌糸は棍棒状、無色、薄壁、少数の隔壁があり、先端は丸く、時にやや膨らみ、径 3.5-5.8 μm.、縁部では長さ 50 μm. 程度までになる。 先端細胞の上半には無色の顆粒状あるいは短いとげ状の疣があるが、それ以外では平滑。

[コメント]
おそらくベニバナボロギク (Crassocephalum crepidioides) と思われる、地表に倒れた草本の枯茎に発生していたもの。 海外では、セリ科、イラクサ科、キク科等の様々な草本上で記録されていて分布も広い。 国内の記録としては、 細矢 (1997) の表1"本研究で採集された日本新産ヒアロスキファ科菌類" 中にリストアップされているが、同氏の博士論文 (Hosoya, 1998) 以外の報告はなさそうだ。

[別図2] 6月15日撮影。

[参考文献]
Haines (1989): Studies in the Hyaloscyphaceae V: species described by C.H. Peck. (Mycotaxon ; 35(2), p. 317-352).
Hosoya (1998): Floristic and taxonomic study on the family Hyaloscyphaceae (Leotiales, Discomycetes) in Japan. (Ph.D. thesis, University of Tsukuba)
Quijada et al. (2015): Studies in Hyaloscyphaceae associated with major vegetation types in the Canary Islands I: Cistella and Hyphodiscus. (Willdenowia ; 45, p.131-146).
Raitviir (2004): Revised synopsis of the Hyaloscyphaceae. (Scripta mycologica ; 20).
Raschle (1978): Neufunde und Neukombinationen von Hyaloscyphaceae Nannfeldt, (Helotiales). (Nova Hedwigia ; 30, p. 653-672).
細矢 (1997): 日本産盤菌類、特にヒアロスキファ科菌類の収集と有用生理活性物質の探索研究. (日本菌学会会報 ; 38, p. 261-266).

[初掲載日: 2020.03.13] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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