Erysiphe australiana

Erysiphe australiana

Erysiphe australiana (McAlpine) U. Braun & S. Takamatsu
サルスベリうどんこ病菌。11月1日撮影。

[特徴]
菌叢は葉の両面に生じ、不整形で白色粉状、融合して時に全面に拡がる。病斑部は縮れあるいは湾曲して奇形になることが多い。菌糸は永存性。菌叢中に裂子嚢殻が散生する。-- 裂子嚢殻は扁球形、ほとんど黒色、径 80-115 μm.、表面は径 7-15 μm. 程度の多角形細胞からなる。長短2型の付属糸がある。 長型は周囲から放射状に伸び、16-20 本、長さ 100-140 μm.、基部付近は径 6-8 μm.、厚膜、隔壁があり、基部から 15-40 μm. 程度は褐色を帯び、やや粗面。 先端に向かってやや細くなり、中ほどでは径 5-6.5 μm.、無色、薄壁、ほとんど平滑。先端は 1-2 回転の渦巻き状になり、その径は 12-18 μm.。 短型は子嚢殻上面に散在し、12-20 本程度、指状あるいは鎌状に折れ曲がり、やや厚膜、無色あるいは淡褐色、隔壁は無い。表面は平滑だが顆粒状の付着物が少量見られる。14-18 × 3.2-5.5 μm.。数個程度の子嚢を生じる。-- 子嚢は卵形から広楕円形、50-58 × 34-40 μm.、4-7 個の子嚢胞子を生じる。-- 子嚢胞子は楕円形、卵形、繭形など、ほとんど無色、薄壁、平滑、20-28 × 11-15 μm.

[コメント]
サルスベリ (Lagerstroemia indica) に発生し、公園や民家の庭のサルスベリに普通に見られる。 長短2種の付属糸を有する特徴から Uncinuliella 属とされていたが、Erysiphe 属に統合されている。 大谷 (1988) は、一子嚢中の子嚢胞子数を "通常8ヶ、時に7ヶ" としているが、6個のものが多く、8個のものを確認できなかった。郑・陈 (1982) は、"5-7" としている。

[参考文献]
大谷 (1988): 日本菌類誌. 第3巻、子のう菌類. 第2号、ホネタケ目・ユーロチウム目・ハチノスカビ目・ミクロアスクス目・オフィオストマキン目・ツチダンゴキン目・ウドンコキン目.
高松 (2012): 2012年に発行される新モノグラフにおけるうどんこ病菌分類体系改訂の概説. (三重大学大学院生物資源学研究科紀要 ; 38, p. 1-73).
郑・陈 (1982): 中国小钩丝壳属的分类研究 II. 新组合: 南方小钩丝壳. (云南植物研究 ; 4(4), p. 363-366).

[初掲載日: 2023.11.05] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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