Erysiphe pseudogracilis

Erysiphe pseudogracilis

Erysiphe pseudogracilis Siahaan & S. Takamatsu
アラカシうどんこ病菌。2月9日撮影。

[特徴]
菌叢は葉表面に生じ、不整円形あるいは融合してほぼ全面に拡がり、永存性、やや厚めの白粉状、菌糸は表面性、無色、付着器は未観察。菌叢全面に裂子嚢殻を密に生じる。-- 裂子嚢殻は扁球形、黒褐色、径 80-103 μm.、表面は径 5-12 μm. 程度の褐色厚膜の多角形細胞からなり、下面周囲から付属糸を生じる。 付属糸は20-25本、菌糸状、隔壁は見られず、時に瘤状あるいは短枝状の分岐を出しながら不規則に屈曲して伸びて長さ 420 μm. 程度に達し、全体に砂粒状の物質が付着し粗面。 基部付近は厚膜、径 4.5-5.8 μm.、基部から長さ 8-20 μm. 程は茶褐色を帯びるが、それ以外の部分は無色、薄壁、中ほどで径 3-4.6 μm.。1子嚢殻中の子嚢は5-7個。-- 子嚢は広卵形ないし楕円形、比較的太い短柄があり、57-66 × 28.5-43 μm.、5-6個の子嚢胞子を生じる。-- 子嚢胞子は長円形、無色、薄壁、平滑、21.5-25.5 × 11.4-13.5 μm.

[コメント]
アラカシ (Quercus glauca) に発生する。 常緑カシ類のうどんこ病菌として最近まで Erysiphe gracilis とされていた菌は、Siahaan et al. (2018) によって複数種に分割された。 本種は付属糸の基部が褐色になることが特徴とされる。アラカシには、秋から冬にかけてうどんこ病菌の白い菌叢が目立つが、京都では調べた限りでは Erysiphe hiratae が多く、E. pseudogracilis は少ない。 普段見ているうどんこ病 (E. hiratae) の病徴となんとなく違う気がして採集し、検鏡して E. pseudogracilis に該当する菌だと判った。 どこが違うのか、と問われるとうまく説明できないけれども。

[参考文献]
Siahaan et al. (2018): Morphophylogenetic study revealed that Erysiphe gracilis (powdery mildew of evergreen oaks, Erysiphales) is a species complex consisting of six different species. (Mycoscience ; 59, p. 124-136).

[初掲載日: 2023.02.19] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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