Erysiphe pulchra

Erysiphe pulchra

Erysiphe pulchra (Cooke & Peck) Braun & Takamatsu = Microsphaera pulchra Cooke & Peck
ハナミズキうどんこ病菌。11月7日撮影。

[特徴]
菌叢は葉の両面に生じ、永存性で白粉状に拡がる。 裂子嚢殻は菌叢中に散生し、やや扁平な球形、黒色、径 74-92 μm.、表面細胞は径 10-15 μm. 程度の厚膜褐色の多角形細胞からなる。 付属糸は赤道付近からほぼ水平に放射状に伸び、8-12本程度、ほぼ直線状、厚膜、時に基部に隔壁があり、基部付近はやや粗造で時に淡褐色を帯びる。 基部で径 8.6-10 μm.、中央付近で径 6.8-8 μm.、最初の分岐までの長さ 70-112 μm.。先端は叉状分岐を3-5回繰り返して最大幅 50-80 μm. に拡がり、 分岐は比較的密で極枝は顕著に反り返る。少数の子嚢を生じる。-- 子嚢は不整卵形、短柄があり、やや厚膜。4-6個の子嚢胞子を生じる。50-72 × 38-48 μm. -- 子嚢胞子はたわら形、薄壁、殆んど無色、内容物は細かい泡状、20.6-23.2 × 10.8-12 μm.

[コメント]
ハナミズキ (アメリカヤマボウシ、Cornus florida) の葉に発生する。公園や民家の庭先に植えられたハナミズキに良く見る。 日本在来種のミズキ (C. controversa) やヤマボウシ (C. kousa) に発生するうどんこ病菌は最初 M. japonica P. Henn. として記載され、 後に M. pulchra の変種とされたが、Meeboon and Takamatsu (2017) によって独立種であることが明らかになった。 現在 Microsphaera 属は Erysiphe 属に統合されているが、Erysiphe 属には既に別のうどんこ病菌 Erysiphe japonica (S. Ito et Hara) C.T. Wei が存在するために種形容語 japonica が使用できない。 そのため Microsphaera japonica に対しては Erysiphe cornicola Meeboon & Takamatsu の新名が付けられている。

[参考文献]
Meeboon and Takamatsu (2017): Phylogeny and taxonomy of Erysiphe pulchra (Erysiphales) and E. cornicola nom. nov. (Mycoscience ; 58, p. 378-382).
大谷 (1988): 日本菌類誌. 第3巻、子のう菌類. 第2号、ホネタケ目・ユーロチウム目・ハチノスカビ目・ミクロアスクス目・オフィオストマキン目・ツチダンゴキン目・ウドンコキン目.

[初掲載日: 2021.01.13] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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