Erysiphe uncinuloides

Erysiphe uncinuloides

Erysiphe uncinuloides Siahaan & S. Takamatsu
シラカシのうどんこ病菌。1月16日撮影。

[特徴]
シラカシの生葉表面側に発生し、菌叢は永存性、白色、粉状で不整円形から融合してほぼ葉面全体に拡がる。 菌叢のほぼ全体に裂子嚢殻を密生するが、主脈上では菌叢は薄く、裂子嚢殻は見られない。 菌糸は表在性で無色、薄壁、分岐し、隔壁があり、径 4-6.5 μm.、付着器は普通対生し、やや複雑な拳状、径10-18 μm. -- 裂子嚢殻は扁球形、黒褐色、径 72-90 μm.、表面は径 5.5-15 μm. 程度の褐色厚膜の多角形細胞からなる。4-5個の子嚢を生じる。 附属糸は裂子嚢殻下半から生じ、14-24 本、菌糸状、基部付近は厚膜で時にやや粗面で褐色を帯びるが、それ以外は無色、薄壁、ほとんど平滑、隔壁は見られない。 屈曲し、時にコブ状あるいは短枝状の突起を出して不規則に折れ曲がりながら伸びて長さ 600 μm. 程度まで、基部で径 5-7 μm.、中ほどで径 2.8-4 μm. 程度。 先端は1-2回転の渦状になり、その径は 10-18 μm. -- 子嚢は広卵形ないし広楕円形、短い柄がある。48-60 × 34-46 μm.、4-6個の子嚢胞子を生じる。-- 子嚢胞子は楕円形ないし長円形、無色、薄壁、平滑、内容物は泡状、19.4-25.7 × 10.3-14.2 μm.

[コメント]
シラカシ (Quercus myrsinifolia) に発生する。生垣等の市街地に植栽されたシラカシに比較的普通に発生していて、秋頃から白い菌叢が目立つ。 附属糸は比較的長く、渦状の先端は欠損して観察できないものも多い。 常緑カシ類のうどんこ病菌として最近まで Erysiphe gracilis とされていた菌は、Siahaan et al. (2018) によって複数種に分割された。

[参考文献]
Siahaan et al. (2018): Morphophylogenetic study revealed that Erysiphe gracilis (powdery mildew of evergreen oaks, Erysiphales) is a species complex consisting of six different species. (Mycoscience ; 59, p. 124-136).

[初掲載日: 2023.02.05] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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