Eutypella sp. no.1

Eutypella sp. no.1

Eutypella sp. no.1.
エウティペラ属菌。12月26日撮影。

[特徴]
落枝に群生する。 子座は樹皮下に埋没して生じ径 2 mm. 程度までの円形ないしやや縦長の楕円形、後に樹皮を突き破って上部が露出する。露出部は径 1 mm. 程度で黒色。 子座内部はやや粉状で白色、5-8個程度の子嚢殻を1層に生じる。 子嚢殻は互いに押し潰された扁球形や卵形、径 280-480 μm.、殻壁は黒色、長い頚部がある。 頚部は中央に向かって束状になって集まり先端が小さく突出し粒状に見える。外面は粗造で不規則な縦皺がある。-- 子嚢は棍棒形、先端はやや平らで肥厚し、下半は細長い柄となる。2つの小さな点状に見える先端リングがあり、メルツァー試薬で青変する。 8胞子をやや不規則な2列の塊状に生じる。57-72 × 6.2-6.9 μm. -- 側糸は鞭状、無色、薄壁、隔壁があり、基部付近で径 6 μm. 程度。-- 子嚢胞子はソーセージ形、淡黄褐色、平滑、顕著な内容物は見られない。8.2-11.4 × 1.8-2.2 μm.

[コメント]
落枝に発生していた物。落枝は木質つる性で、フジ (Wisteria floribunda) だと思われる。 ディアトリペ類には間違いないと思ったので Rappaz (1987) の検索表をたどると Eutypella wisteriae Syd. et P. Syd. に落ちた。 100年以上前に日本のフジ(原記載では Wistaria chinensis となっている)から記録された種で、 タイプは原攝祐氏から Sydow に送られた標本だが、それ以降の国内での記録が見当たらない。 原記載や Rappaz の記載には図が無いので詳細を把握できかねるが、特徴は似ているように思われる。 Rappaz はタイプ標本を検討しているが、計測値には原記載とは若干の差があり、 例えば子嚢胞子の大きさを Sydow (1913) は 7-11 × 2-3 μm. としているが、Rappaz は 6.8-9 × 2-2.5 μm. としている。

[参考文献]
Rappaz (1987): Taxonomie et nomenclature des diatrypacées à asques octopsporés. (Mycologia Helvetica ; 2(3), p. 285-648).
H. Sydow and P. Sydow (1913): Novae fungorum species. X. (Annales mycologici ; 11(3), p. 254-271).

[初掲載日: 2016.01.19]