Glutinoglossum sp. no.2

Glutinoglossum sp. no.2

Glutinoglossum sp. no.2.
グルティノグロッスム属菌。9月30日撮影。

[特徴]
子実体は細棍棒形や円筒形、肉質は軟らかく、全体ほとんど黒色で表面には粘性がある。高さ 5 cm. 程度まで。 上半部(全長の 1/2 - 1/3 程度)に子実層があり、柄との境界はやや不明瞭。 子実部はやや太まって径 7 mm. 程度までの扁平な不正紡錘形になり縦に畝状の溝があるものが多い。 柄は同色あるいはやや淡色、径 2-4 mm.、表面は僅かにささくれ状あるいは顆粒状で薄くゼラチン質に覆われる。-- 子嚢は細円筒形で薄壁、先端は僅かに尖り、肥厚して頂孔はメルツァー試薬でやや広く青変する。基部は急に括れて2叉状になる。8胞子を不規則な束状に生じる。191-234 × 21-23 μm. -- 側糸は糸状、隔壁があり、径 1.6-2.4 μm.、上半は淡褐色、目立った内容物は見られない。先端付近は次第に膨らんで 5.5 μm. までになり、顕著に屈曲し、多くは2-3回巻いた螺旋状になる。-- 子嚢胞子は円筒形、褐色、平滑、直線状あるいはわずかに曲がる。両端は丸いが、末端はやや細まる。ほぼ等間隔に7隔壁を生じる。65-86 × 5.4-6.2 μm. -- 子実体髄層は淡色の平行菌糸からなり、径 10-14 μm.、隔壁部は僅かに括れる。外皮層は淡褐色の径 4-8 μm. の平行菌糸よりなり、髄層との境界はやや不明瞭。 柄の表面から側糸様の菌糸が立ち上がる。無色、薄壁、隔壁があり、径 2.0-2.5 μm.、基部付近には分岐がある。 先端付近はやや膨らんで 5 μm. までになり曲がりくねる。全体がゼラチン質の物質に包まれ、厚さ 280-420 μm. になる。

[コメント]
ブナ林林床に散生していたもの。子実体表面が著しく粘性を帯びるので Glutinoglossum 属の菌だろう。 中国から記載された Geoglossum laccatum W.Y. Zhuang は子実体表面が粘性で側糸先端が渦巻状になる種だが、 側糸の内容は "refractive or laccate" とあり、先端部の形状も図を見る限りかなり異なる。

[参考文献]
Fedosova et al. (2018): Towards an understanding of the genus Glutinoglossum with emphasis on the Glutinoglossum glutinosum species complex (Geoglossaceae, Ascomycota). (Persoonia ; 41, p. 18-38).
Imai (1941): Geoglossaceae Japoniae. (Journal of the Faculty of Agriculture, Hokkaido Imperial University ; 45(4). p. 155-264).
Zhuang and Wang (1997): Some new species and new records of Discomycetes in China. VII. (Mycotaxon ; 63. p. 307-321).

[初掲載: 2018.04.27]