Gyromitra esculenta

Gyromitra esculenta

Gyromitra esculenta (Pers.: Fr.) Fr.
シャグマアミガサタケ。4月3日撮影。

[特徴]
子実体は高さは 15 cm. 以上になり、子実層のある頭部と柄からなる。 頭部は径 7-10 cm. 程度、全体は凹凸のある中空の不正塊状、縁は不規則に反り返って時に柄に接するが癒着しない。 表面は複雑に屈曲し、皺のある脳状、茶褐色ないし紫褐色から黒褐色。 裏面はほとんど平滑、子実層の色が透けて淡きつね色に見えるが表面組織の色はほとんど白色。肉質はかなり脆い。 柄は肉厚中空の円柱形、基部は太まって 4 cm. 程度になり、全体に浅い畝状の凹凸がある。表面はやや糠状、クリーム色、肌色ないし淡黄褐色。-- 子嚢は円筒形、薄壁、メルツァー試薬に呈色しない。基部付近はやや屈曲する。8胞子をほぼ一列に生じる。248-325 × 17-20 μm. -- 側糸は糸状、径 4.0-5.8 μm.、隔壁があり下方で分岐する。 先端はやや球状に膨らんで径 7-10 μm. までになり、先端細胞(長さ 80 μm. 程度まで)には褐色顆粒状の内容物がある。時に先端や周辺部に褐色ヤニ状の付着物がある。-- 子嚢胞子は楕円形、無色、薄壁、平滑、20.6-22.9 × 10.0-11.6 μm.、両端近くに径 3.5-4.0 μm. の油球がある。 成熟した子嚢胞子では両極の胞子膜がやや厚くなり 0.7 μm. 程度になる(上記の子嚢胞子の計測値はこれを含まない)。胞子紋は淡黄土色。-- 頭部組織髄層は径 9-22 μm. の無色薄壁の菌糸からなる絡み合い菌糸組織、外皮層との境界は不明瞭。 外皮層は厚さ 400 μm. 程度、棍棒形や紡錘形、電球形等の 54-100 × 20-34 μm. の無色薄壁の細胞がやや柵状に並ぶ。

[コメント]
春、針葉樹林内や混交林内地上に単生あるいは散生する。画像はモミを含む混交林内に単生したもの。 国内外の文献に図示されたものを見ると頭部の色や形状などにずいぶん違いがあるものが図示されていて、変異の大きい種の様である。 子嚢胞子の形状もいくつかのタイプが分けられるようだが、京都付近では発生は少なく、今までに採集した標本も多くないので詳細な観察ができていない。

[参考文献]
Abbott and Currah (1997): The Helvellaceae : systematic revision and occurrence in northern and northwestern North America. (Mycotaxon ; 62, p. 1-125)
Harmaja (1979): Notes on Gyromitra esculenta coll. and G. recurva, a noteworthy species of western North America. (Karstenia ; 19. p. 46-49).

[初掲載日: 2016.04.13]