Hymenoscyphus sp. no.2

Hymenoscyphus sp. no.2

Hymenoscyphus sp. no.2
ニセビョウタケ属菌。9月3日撮影。

[特徴]
子実体は落葉の主に裏面葉脈上に生じる。有柄で浅い皿状。全体ほとんど白色。直径 1 mm 程度。 柄は細く無毛、高さ 1 mm 程度、基部は黒くならない。-- 子嚢は先がややとがる円筒形、8胞子を二列に生じる。頂孔は I+。78-92 × 8.5-10 μm. -- 側糸は糸状。無色で上下同幅、径 2.0-2.5 μm. -- 子嚢胞子は紡錘形、左右不対称。頭部は折れ曲がり尾部は細まる。無色薄壁で大きい油球が2個と細かい油球が数個ある。15.0-17.8 × 4.0-5.5 μm.

[コメント]
広葉樹の落葉上に生じる小型白色のビョウタケ類。画像の落葉はシデ類 (Carpinus sp.) と思う。エノキ、カエデ類の落葉にも区別できないものが発生する。 似た種類が多く、Hymenoscyphus caudatus (Karst.) Dennis に該当するものではないかと思うが、従来この学名があてられていた種は複数種に分割されるべきもののようだ。

[別図2] 7月1日撮影。カエデの一種 (Acer sp.、おそらくイロハモミジ) の落葉に発生していたもの。上記と同種と思われるが、この標本に基づく特徴を記述しておく。
子実体は落葉の主に裏面葉脈上に生じる。有柄で浅い椀形から皿状になる。全体がやや透明感のある白色。直径 0.5-1.5 mm 程度。 柄は細く無毛、半透明白色、高さ 1 mm 程度、基部は黒くならない。-- 子嚢は円筒形、先端はやや尖って肥厚し、頂孔はメルツァー試薬で青変する。子嚢基部にかぎ型構造は見られない。8胞子をほぼ2列に生じる。85-100 × 8-10.8 μm. -- 側糸は糸状、隔壁があり、上下同幅、径 2.0 μm. 程度、内容はほぼ一様で無色。-- 子嚢胞子は長楕円形、左右不対称、頭部は丸く、僅かに折れ曲がるものが多く、尾部は細まる (scutuloid)。無色薄壁、比較的大きい油球が2個が目立つ。16.8-20.0 × 3.8-5.1 μm. -- 組織の詳細を確認できなかったが、表面は隔壁部の括れる径 12-18 μm. 程度の円筒形ないし長楕円形の無色薄壁の細胞よりなり、縁部は 16-30 × 4-6 μm. 程度の棍棒形の細胞が並ぶ。

[参考文献]
Dumont and Carpenter (1982): Los hongos de Colombia --VII: Leotiaceae --IV: Hymenoscyphus caudatus and related species from Colombia and adjacent regions. (Caldasia ; 13(64), p. 567-602).
White (1943): Studies in the genus Helotium, III. History and diagnosis of certain European and North American foliicolous species. (Farlowia ; 1(1), p. 135-170)
Zhang and Zhuang (2004): Phylogenetic relationships of some members in the genus Hymenoscyphus (Ascomycetes, Helotiales). (Nova Hedwigia ; 78, p. 475-484).

[最終更新日: 2018.04.13]