Hymenoscyphus torquatus

Hymenoscyphus_torquatus

Hymenoscyphus torquatus (Zhuang) Kušan et Baral = Lambertella torquata Zhuang
ヒメノスキフス トルクアトゥス。6月24日撮影。

[特徴]
地上の枯茎上に少数が散生あるいは群生する。子嚢盤は浅い椀形から肉厚の皿状になり直径 2.5 mm. まで。 子実層面はニッケイ色ないし淡茶褐色、縁は全縁、外面は乳白色あるいはやや明るい黄褐色で無毛。柄は短くて同色、基部付近は黒っぽい。-- 子嚢は円筒形、8胞子をほぼ2列に生じる。先端はやや円錐形に尖って肥厚し頂孔はメルツァー液で青変する。154-169 × 11.5-17.8 μm. -- 側糸は糸状、隔壁があり、径 1.5-2.0 μm.、先端は次第に膨らんで径 2.0-2.5 μm. になり淡黄褐色の内容物がある。-- 子嚢胞子は流線型、やや左右不対称で先端は丸く、時に僅かに屈曲し (scutuloid)、末端は尖る。薄壁、平滑、ほとんど無色で後に僅かに褐色を帯びて見え、内容物は泡状。 37-48 × 7.4-8.6 μm.、末端に無色で径 1.2-2 μm. 程度の小さな盃状の付属物がある。-- 托組織髄層は径 2-3 μm. のほぼ無色の絡み合い菌組織、外皮層近くではほぼ平行に走る。 外皮層は厚さ 40-50 μm. までの矩形菌組織で、ほぼ無色(最外層ではやや黄褐色)の丸みを帯びた 5.5-10 × 8-20 μm. 程度までの細胞よりなる。 組織にゼラチン化している部分は見られない。外面には径 5-6 μm. までの菌糸が走る。 菌糸は隔壁があり内容物は一様な淡黄褐色で先端は丸く、時に僅かに立ち上がる。表面にはまばらに黄褐色の結晶様の物質が付着することがある。

[コメント]
地上の細い枯茎に発生していたもの。枯茎は長いつる状で表面に粗毛がある。近くにはアオツヅラフジ (Cocculus orbiculatus) があったのでその枯茎だと思うが確かではない。 子実体基部付近の基質は黒ずむが明瞭な子座は認めにくい。 末端に付属物を持つ大きな子嚢胞子は特徴的で、Zhuang (1995) が安徽省黄山 (Huangshan, Anhui Province) の草本性植物の茎上から記載した Lambertella torquata と良く一致する。(ただし子嚢胞子は放出後淡褐色になり3隔壁ができるという。 今回採集したものは隔壁のある子嚢胞子は見当たらなかった。)Zhuang (1995) は仮に ("tentatively") Lambertella 属に置いている。
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Baral and Bemmann (2014) は、子嚢胞子の特徴などから Hymenoscyphus 属に移しているので、それに従って修正した。[2020.06.29 追記]

[別図2] 6月17日撮影。ツヅラフジ (Sinomenium acutum) の枯茎に発生したもの。枯茎が生茎に繋がっていたので寄主を同定できた。 案外普通種のようで、今年(2020年)複数個所で採集したが、周辺の状況や維管束組織の特徴などから、寄主はすべてツヅラフジと判断して良さそうだ。 上記でアオツヅラフジとしたものもツヅラフジの誤認の可能性がある。今回も子嚢胞子の隔壁は確認できなかった。

[参考文献]
Baral and Bemmann (2014): Hymenoscyphus fraxineus vs. Hymenoscyphus albidus – a comparative light microscopic study on the causal agent of European ash dieback and related foliicolous, stroma-forming species. (Mycology ; 5(4), p. 228-290).
Zhuang (1995): A new species of Lambertella with peculiar ascospores. (Mycotaxon ; 56, p. 41-43).

[初掲載: 2009.08.05, 最終更新日: 2020.06.29] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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