Incrucipulum ciliare

Incrucipulum ciliare

Incrucipulum ciliare (Fr.) Baral = Lachnum ciliare (Fr.) Rehm
フトゲヒナノチャワンタケ。10月3日撮影。

[特徴]
子嚢盤は散生あるいは少数が群生する。椀状からほぼ平らな盤状に開き直径 0.8 mm. 程度まで。子実層面は乳白色あるいは僅かに黄色味を帯びる。 縁はやや内屈し白色の毛がある。外面も同色の短い毛で覆われる。柄は細く、高さ 0.4 mm. 程度まで、白色の毛に覆われる。-- 子嚢は棍棒形、先端は肥厚し、頂孔はメルツァー液で青変し、基部にかぎ形構造は見られない。8胞子をほぼ2列に生じる。71-83 × 7.4-8.3 μm. -- 側糸は直線的太針状、無色、基部付近には隔壁がある。先端はやや尖り、ほとんど子嚢と同長、あるいは 5 μm. ほど子嚢より突出する。径 2.2-2.8 μm. -- 子嚢胞子は長紡錘形で時にやや左右不対称あるいは弓型になり、無色、薄壁、平滑、一列に油球を含むものが多い。20.0-24.8 × 2.5-2.9 μm. -- 托髄層は絡み合い菌組織、外皮層は矩形菌組織よりなる。 外面の毛は表面細胞より生じ無色、やや厚膜、少数の隔壁があり表面は細かい顆粒状、長さ 100-128 μm. までになり、基部付近で径 4-6 μm.、先に向かって僅かに細くなる。 先端は丸く、時にマッチ棒状に膨らみ、無色の菱型あるいは角錐形の結晶塊が帽状に附着する。

[コメント]
クヌギ、コナラなどのコナラ属 (Quercus) の落葉に生じる。葉の両面に発生し、葉脈上に生じるものも多い。子嚢や子嚢胞子の測定値は図鑑類に示されている値よりやや大きめである。

[別図2] 10月16日撮影。中央やや下と右方に見える淡ベージュ色の菌は別種。

[参考文献]
Otani (1967): Notes on some cup fungi of the Hyaloscyphaceae collected in Hokkaido, Japan. (Trans. mycol. Soc. Japan ; 8(2). p. 33-42).
Tochihara and Hosoya (2019): Three new species of Incrucipulum (Lachnaceae, Helotiales, Ascomycota) from Japan. (Phytotaxa ; 403(1), p. 25-38).

[初掲載日: 2009.10.21, 最終更新日: 2020.08.13] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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