Ionomidotis frondosa

Ionomidotis frondosa

Ionomidotis frondosa (Kobayasi) Kobayasi et Korf
クロハナビラタケ。7月18日撮影。

[特徴]
朽木上に群生する。子嚢盤は共通の基部から枝分かれして生じ、長さ 3-25 mm. 程度の波うった椀状やへら状で、集合して全体で花びら状になることも多い。 子実層面はほとんど黒色、平滑で新鮮な時はややつやがある。全縁で肉は薄く、外面もほぼ黒色、無毛、ちりめん状で不規則な放射状の細かい皺がある。全体が柔軟な革質。 柄は普通は短く側生し、硬く、表面は粗造。子実体はKOH水溶液中で暗紫褐色の色素を溶出する。-- 子嚢は円筒形、頂孔はメルツァー試薬に呈色せず、基部にはかぎ形構造がある。8胞子を一列に生じるが後には不規則な2列状になって先端付近に固まる。37-43 × 3.6-4.0 μm. -- 側糸は糸状、ほとんど無色、先端はわずかに膨らんで屈曲し、黄褐色の不定形ヤニ状物が付着する。直径 1.0 μm. 程度。-- 子嚢胞子は楕円形ないしやや曲がってソーセージ形、ほとんど無色あるいは淡黄褐色。5.0-5.7 × 1.0-1.5 μm. -- 托組織髄層はやや平行に走る菌糸からなる絡み合い菌組織で、菌糸は径 3-4.5 μm.、やや厚膜、隔壁があり、表面には黄褐色の角ばった砂状の物質が付着する。 外皮層は厚さ 40-50 μm. 程度、縦長の丸みを帯びた多角形の細胞からなる。細胞は 8-15 × 3-6 μm. 程度、淡黄褐色、厚膜でややゼラチン質に見える。外面は濃褐色の物質に被われる。

[コメント]
広葉樹の朽木上に生じる普通種。ほぼ年中見られ、子実体の寿命は長い。有毒菌で胃腸系の中毒を起こすと言う。日本固有種とされていたが、中国大陸や台湾でも記録されている。 Korf (1958, 1971) は Ionomidotis frondosa (Kobayasi) Kobayasi et Korf の組み合わせを発表したが、後に Cordierites frondosa (Kobayasi) Korf としている。(なお、属名 Cordierites は人名 (Cordier) + 男性の接尾辞 (-ites) からなる男性名詞なので Cordierites frondosus と綴るのが正しいはず。) ここでは托組織のゼラチン化の有無によって両属を区別した Zhuang (1988) に従っておく。

[別図2] 9月10日撮影。クロハナビラタケが生えている朽木の表面には核菌類の一種が生えている事が多い。 この例では球形の子嚢核が密生している中からクロハナビラタケが発生している。核菌類は一種類ではないようだが何か両者の間に関係があるような気がする。
[別図3] 8月27日撮影。

[参考文献]
Korf (1958): Japanese Discomycete notes I-VIII. (Sci. Rep. Yokohama Nat. Univ. ; 2(7). p. 7-35).
Korf (1971): Some new discomycete names. (Phytologia ; 21(4), p. 201-207).
Wang (2005): Three discomycetes (Helotiales) new to Taiwan. (Fung. Sci. 20(1,2), p. 41-45).
Zhuang (1988): Studies on some discomycete genera with an ionomidotic reaction: Ionomidotis, Cordierites, Phyllomyces, and Ameghiniella. (Mycotaxon ; 31. p. 261-298).
Zhuang and Korf (1989): Some new species and new records of Discomycetes in China. III. (Mycotaxon ; 35(2), p. 297-312).
今関・本郷 (1989): 原色日本新菌類図鑑 (II).

[初掲載日: 2004.07.18, 最終更新日: 2019.02.18] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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