Ionomidotis sp. no.1

Ionomidotis sp. no.1

Ionomidotis sp. no.1
クロムラサキハナビラタケ属菌。7月28日撮影。

[特徴]
子嚢盤は朽木上に群生する。材上に褐色で粗造なかさぶた状の子座を形成する。子座からは複数の子嚢盤が発生し、時に共通の柄から複数の子嚢盤を生じる。 子嚢盤は有柄、初め球状で縁はやや内側に巻くが、のち椀形から皿状に開き、直径 2-5 mm.、子実層面は明オリーブ色あるいは辛子色、古くなると黄褐色から茶褐色になる。 縁は時に波打ち、また、細かな鋸歯状になる事もある。外面は細かな鱗片状になり、ほぼ同色。 柄は中心生でやや粗い鱗片状、茶褐色、基部にかけては暗褐色になる。肉質は柔軟でかなり丈夫。子実体は水酸化カリウム水溶液中で赤褐色の色素を溶出する。-- 子嚢は棍棒形、先端は僅かに肥厚し、頂孔はメルツァー試薬に呈色せず、基部にはかぎ形構造がある。8胞子をほぼ二列に生じる。40-50 × 5.0-6.2 μm. -- 側糸は糸状、ほとんど上下同幅、あるいは僅かに先端が膨らみ、ほぼ無色ないしわずかに黄褐色を帯びる。径 1.5-2.0 μm. -- 子嚢胞子は楕円形ないしやや曲がってソーセージ形、無色、薄壁、平滑、両端に小さな油球がある。4.0-5.8 × 1.8-2.3 μm. -- 托組織髄層はほぼ無色、薄壁、径 2.5-3.5 μm. の菌糸からなる絡み合い菌組織で、菌糸表面には砂粒状ないし金平糖状で径 2.5 μm. 程度までの黄褐色の結晶が付着する。 外皮層は厚さ 50-90 μm.、やや縦長、径 6-8 μm. までの多角形細胞からなり、ややゼラチン化しているように見える。細胞間には黄褐色のヤニ状物があり、子実体表面には厚く付着する。

[コメント]
広葉樹(主にカシ類)の朽木の材部に群生する。発生している材はかなり硬い。Ionomidotis 属の菌だろう。 海外のサイト等で Ionomidotis fulvotingens の黄褐色タイプとして紹介されているものに似ているが、真正の I. fulvotingens ではないと思う。

[別図2] 7月3日撮影。やや未熟な子実体。

[参考文献]
Zhuang (1988): Studies on some discomycete genera with an ionomidotic reaction: Ionomidotis, Poloniodiscus, Cordierites, Phyllomyces, and Ameghiniella. (Mycotaxon ; 31(2), p. 261-298).

[最終更新日: 2022.10.30] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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