Lanzia? sp. no.5

Lanzia so. no.5

Lanzia? sp. no.5
ランツィア属?菌の一種。8月1日撮影。

[特徴]
子嚢盤はツバキの落葉上(表面、裏面ともに生じる)に散生あるいは少数が群生し、有柄ビョウ形。 直径 1.5-3.5 mm.、子実層面は黄橙色、オレンジ色ないし明レンガ色。縁は全縁、外面は微毛状あるいはやや濃色の小鱗片状。柄は短く、下半は黒っぽい。-- 子嚢は円筒形、8胞子を一列に生じるが、後には2列になって上方に固まる。先端は肥厚し、頂孔はメルツァー試薬で青変する。88-108 × 7.0-9.0 μm. -- 側糸は無色のものと有色のものがある。無色の側糸は糸状、基部付近で分岐し隔壁がある。径 2.0-2.5 μm.。 有色のものは径 2.5-5.0 μm.、黄橙色の一様な内容物を含み、基部に隔壁がある。-- 子嚢胞子は左右不対称でやや豆型の楕円形、無色、薄壁、平滑、大きな2個の油滴が目立つ。8.2-9.8 × 3.7-4.8 μm. -- 托組織髄層は絡み合い菌糸組織、無色薄壁の 30-90 × 10-18 μm. 程度のソーセージ形の菌糸からなる。 外皮層との境界付近の菌糸はやや細く、平行に走る。 外皮層は厚さ 55-75 μm. 程度の矩形菌糸組織、各細胞はやや丸みを帯び、薄壁、25-45 × 12-20 μm.、ほとんど無色。 縁部の細胞は楕円形ないし電球形で 8.5-22.8 × 5.4-7.2 μm.、黄橙色の内容物を含む。 外面には黄橙色の内容物を含む匍匐菌糸があり、その先端の1-3細胞はしばしば立ち上がって毛状となり、外面には黄色の細かい顆粒を付けることがある。 隔壁部は少し括れ、先端細胞はやや膨らんで細紡錘形になるものが多く、25-58 × 5.5-7.2 μm. 程度。

[コメント]
夏から秋にかけて、照葉樹林内、ツバキ (Camellia japonica) の落葉上に(葉柄にも)発生する。今まで Lanzia velutinosa としていた菌。 この学名は井口氏の日本産キンカクキン類一覧表にヤブツバキの枯葉に生じる菌として挙げられているのを見て知った。 ツバキの落葉には複数種のビョウタケ類が発生するが、Tewari and Singh (1974) を参照すると、 L. velutinosa は直径 2.5 mm. 程度で子実層面は黄橙色、とあったので、私が採集したものと同じ菌だろうと思い、この学名を使っていた。 だが、Quercus 属の葉柄に生じるという L. velutinosa とは特徴が異なるので、訂正して Lanzia? 属の不明菌とした。 井口氏が L. velutinosa とした菌とは異なるものだろう。

[別図2] 8月13日撮影。

[参考文献]
井口 (2002): キンカクキン類概説. ver.1-2-2.
Tewari and Singh (1974): Two new species of inoperculate Discomycetes. (Mycologia ; 66, p. 808-816).

[最終更新日: 2016.09.16]