Orbilia sp. no.13

Orbilia sp. no.13

Orbilia sp. no.13
オルビリア属菌。4月11日撮影。

[特徴]
朽木の材部に群生する。子嚢盤はビョウ形、径 1.5 mm. まで、子実層面はオレンジ色でやや半透明、平滑。縁は全縁、外面は平滑でやや半透明淡色。柄は比較的太くて短い。-- 子嚢は細円筒形、先端は平ら、メルツァー試薬に呈色しない。下半は細長く伸びて屈曲し、下端は僅かに太くなって鈍角に折れ曲がるものが多く、分岐するものは少ない。8胞子をほぼ2列に生じる。54-74 × 3.4-4.6 μm. -- 側糸は太糸状、基部に隔壁があり分岐し、径 2 μm. 程度、先端は僅かに膨らんでマッチ棒状、径 2.5-2.9 μm.、内容はほぼ一様で無色、先端には僅かに無色砂状の結晶が付着する。-- 子嚢胞子は細紡錘形、無色、薄壁、平滑、一端に涙型で屈折性の内容物がある。8.5-10 × 1.2-1.6 μm. -- 子実下層は径 2.5-8 μm. の球形細胞がめだつ。托組織髄層は径 10-30 μm. 程度の不整楕円形あるいはソーセージ形の無色の細胞からなり、外皮層との境界はやや不明瞭。 外皮層は丸みを帯びた径 5-9 μm. の多角形細胞からなり、最外層の細胞は柵状に並ぶ。 外面の基部付近から柄からは緩やかに曲がりくねる菌糸が基質に向かって拡がる。無色、薄壁、隔壁があり径 2.5-3.2 μm.

[コメント]
広葉樹と思われる朽木に群生していたもの。 Orbilia sp. no.3 に比べて子嚢胞子が僅かに短いが、子実体の色以外には明瞭な違いを見いだせない。 随分以前からもうすぐ出版、と噂されながら先延ばしになっていた Baral 氏によるオルビリア菌類のモノグラフが2020年に漸く出版された。 予想をはるかに凌駕する1700ページ超えの大著で、さらに全編のPDFファイルがフリーでダウンロードできるのも驚きだ。 精緻な内容は通り一遍の理解をするだけでも大変だが、日本産として記録されている種は僅かで、まだまだ多くの未記載種があるはずだ。 これも種の同定に至らないが、Section Helicoon に属する菌かと思う。

[参考文献]
Baral et al. (2020): Monograph of Orbiliomycetes (Ascomycota) based on vital taxonomy. pt. I + II. National Museum of Natural History Luxembourg, 1752 pp.

[初掲載日: 2023.07.11] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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