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アベマキの総苞上に子座を形成する小房子嚢菌類。2月1日撮影。

[特徴]
アベマキの総苞片に子嚢子座を形成する。 子嚢子座は瘤状、時に融合して肥大し表面はほぼ黒色、最初は平滑でつやがあるが後にはややざらついた感じになり、最終的には表皮が部分的にはがれ落ちる。 全体がやや硬いコルク質、内実は肉眼では黒褐色。表皮下に厚さ 100-150 μm. 程度の子実層部が形成され、子嚢が数層になって生じる。-- 子嚢は長円形ないし卵形、やや厚膜(二重壁)で淡褐色、25.7-40.0 × 11.4-17.2 μm.、8胞子を生じる。 子嚢内壁は無色、子嚢外壁の上端を破って円柱状に伸長し、70 μm. 以上に達する。 メルツァー試薬には呈色しない。子嚢は子実層中に密に並び、子嚢の間には側糸様の組織は殆ど無く、子嚢外面には所々に暗褐色の物質が付着する。-- 子嚢胞子は楕円形、無色薄壁、平滑、ほぼ中央に隔壁があり2細胞、隔壁部はわずかに括れ、13.1-17.2 × 5.7-7.2 μm.。 一方の細胞がやや長く、幅広い。顕著な内容物は認めにくい。-- 子座の表皮層は厚さ 50 μm. 程度まで、厚膜で黒褐色の多角形細胞よりなり、各細胞は直径 5-9 μm. 程度、 髄層はやや大きめ (10-15 μm.) でやや淡色の多角形細胞よりなり、共に表面には暗褐色の物質が付着する。

[コメント]
冬から春にかけて、アベマキ (Quercus variabilis) の落下した総苞上に(時に枝に付いたままの状態で)見られる。 近似種のクヌギの樹下では今のところ見つけられない。堅果ができていない状態なので雌花の開花期(春)に感染、寄生するものだろうか。 一番最初に採集した時はまだ子嚢が発達していない物だったので検鏡しても正体がわからず、菌核かと思って砂に埋めて腐らせてしまったりもしたが、 春になると二重壁子嚢が皮層下に複層になって生じるので小房子嚢菌類には間違いないだろう。 Myriangiales ぐらいしか該当しそうな分類群を思いつかないが、属の見当が付かない。

[別図2] 3月16日撮影。

[初掲載日: 2014.05.02]