Papulaspora sp. no.1

Papulaspora sp. no.1

Papulaspora sp. no.1.
テングノメシガイの寄生菌。7月10日撮影。

[特徴]
テングノメシガイ類 (Trichoglossum sp.) に発生する。初め子実部表面が薄く粉を吹いたように白くなるが、やがて全体に広がり厚く白い菌叢を形成する。 厚膜胞子が形成された部分は次第にウグイス色を帯びてくる。-- 分生子は長円形や長卵形、無色薄壁。不明瞭な泡状内容物が両端にある事が多い。11.1-14.9 × 3.7-5.7 μm. -- 厚膜胞子は菌糸の短い分枝の先端に形成される。厚膜、緑褐色で中央に横に隔壁があるダルマ形、24.3-28.6 × 15.7-17.2 μm.。 各細胞はほぼ同形同大(あるいは基部細胞の方がわずかに大きい)の偏球形あるいは饅頭形、隔壁部はくびれる。 外面にはやや薄壁で無色の球形細胞が泡状になって全面に附着する。 内容物は無く、一部はつぶれたようになっているものもあり、径 5.7-8.6 μm.。厚膜胞子は全体で 38.6-42.9 × 28.6-31.5 μm. になる。

[コメント]
Trichoglossum hirsutum (テングノメシガイ)に発生していたもの。梅雨の時期に見る事が多い。 写真左から3本目の基部付近は厚膜胞子のためにウグイス色になっている。厚膜胞子の形状から Papulaspora 属でいいと思う。 テングノメシガイ類に生じる Hypomyces papulasporae は Papulaspora タイプの厚膜胞子を形成するが、中央の胞子は一細胞というから別種だろう。 厚膜胞子を形成しているものは何度も採集しているが子嚢殻を形成しているものはまだ採集できていない。

[参考文献]
Rogerson and Samuels (1985): Species of Hypomyces and Nectria occuring on Discomycetes. (Mycologia ; 77(5), p. 763-783).

[初掲載: 2008.08.27]