Penicilliopsis clavariaeformis

Penicilliopsis clavariaeformis

Penicilliopsis clavariaeformis Solms-Laubach [Sarophorum palmicola (Henn.) Seifert & Samson]
カキノミタケ。10月13日撮影。

[特徴]
分生子柄束はカキの種子から数本ないし十数本程度が群生する。 小型のナギナタタケ類に似て、細い角状。分岐しないものが多いが、鹿の角状や樹枝状になるものもある。 高さ 2-4 cm.、最大幅 2 mm. 程度になり、先端は尖るものが多い。肉質は柔らかく弾力がある。 肉は淡色だが表面は分生子に覆われてやや緑っぽい黄色の粉状になる。-- 分生子は輪生するフィアライドから鎖状に連結して生じ、ほとんど無色、楕円形ないし卵形でやや厚膜、光学顕微鏡では平滑に見える。 両端にごく短い連結管が残るものが多い。7.0-12.0 × 4.5-8.6 μm. -- 子嚢果は短い柄の先に1ないし数個固まって生じる。球形や塊状で直径数ミリ程度、橙黄色で硬い。 成熟したものはまだ観察した事が無く、未熟な子嚢果の内部は無色の柔組織状。

[コメント]
秋に地上に落ちたカキの実の種子から発生する。 落果まもないまだ果皮が残っているようなものの種子から発生するがタヌキの糞中のカキの種子からも発生するという。 以前は比較的珍しい種と言われていたけれど、それほどでもなさそうである。 ただ子嚢果を形成しているものは少なく、過去に何回か見つけた事があるが自然状態ではなかなか成熟しないようだ。 掲載したカキノミタケも分生子柄束のみで子嚢果をつけていないのでアナモルフの名前、Sarophorum palmicola と呼ぶべきだろうか。
手持ちの図鑑類では学名は Penicilliopsis clavariaeformis となっているのだが Index Fungorum で検索すると、Penicilliopsis clavariiformis となっている。 ラテン語の複合語を作るときは「前の名詞の語幹に(後ろの名詞が子音で始まる場合は)接続母音 i をはさんで結合する」という規則に拠れば clavariiformis と綴るのが正しいのかもしれないがよくわからないので clavariaeformis の方を使っておく。

[参考文献]
大谷 (1988): 日本菌類誌. 第三巻, 第二号.

[初掲載: 2007.01.09]