Pestalotia kasagiensis

Pestalotia kasagiensis

Pestalotia kasagiensis Yeo & Katsura
アラカシの輪紋葉枯病菌。11月24日撮影。

[特徴]
アラカシの落葉表面にやや不鮮明な不正同心円状の病斑を生じ、普通は径1cm. 程度だが大きなものでは径 4 cm. に達する。 病斑は健全な部分よりも淡色で灰褐色、境界には細くて不明瞭な黒褐色の帯線がある。 病斑部の葉面表側に多数の分生子層を生じる。分生子層は表皮下に形成され、黒色扁平なドーム状、時に融合し、直径 0.2-1.0 mm. 程度。-- 分生子柄は分生子層面に密に並び、短柄状。分生子は紡錘形、横に3隔壁を生じ4細胞になる。 中央2細胞は褐色厚膜、平滑、隔壁部はやや括れ、6.0-6.3 × 11.4-12.9 μm.、顕著な内容物は見られない。 先端細胞は無色薄壁、円錐形、長さ1.7-3.0 μm.、先端に3本(稀に4本)の付属糸をつける。付属糸は糸状、0.5 × 20.8-34.5 μm.、先端は太くならない。 基部細胞も無色薄壁、ドーム形、長さ 2.0 μm. まで、時に尻尾状の細い付属糸(2.5 μm. まで)をつけるが脱落しやすい。

[コメント]
アラカシ (Quercus glauca Thumb.) の落葉に発生していた物。夏頃から感染している葉が見られるが、分生子が成熟するのは晩秋の様である。 以前は大変多くの種が含まれていた Pestalotia 属は、分生子中央部の有色細胞の数により分割整理され、2細胞が有色のものは Truncatella に移されている。 この種も植物病原菌類図説では「明らかに Truncatella 属に移すべき種」とされているが、新組み合わせの正式な発表は見当たらないので、 葉・桂 (1959) の学名を使っておく。京都(笠置町)で見つかった種で、京都では比較的普通に見かける。

[参考文献]
小林ら編 (1992): 植物病原菌類図説.
葉・桂 (1959): アラカシ Quercus glauca Thumb. 葉の新病害「輪紋葉枯病」とその病原菌について. (京都府立大学学術報告. 農学 ; 11, p. 52-58).

[初掲載日: 2013.11.28, 最終更新日: 2015.12.21]