Plectania campylospora

Plectania campylospora

Plectania campylospora (Berk.) Nannf.
エナガクロチャワンタケ属菌。1月27日撮影。* (奄美大島油井岳にて前園氏撮影、提供)

[特徴]
朽木上に発生する。やや深めの椀形で直径 5cm. 程度になる。子実層面は平滑、チョコレート色。縁は小さく内屈する。 外面は黒褐色、細かいビロード状で下半から基部にかけて脈状の隆起がある。柄は中心生で短いかあるいはほとんど無く、 基質にかけて剛毛状の黒色菌糸が薄く広がる。肉は薄く柔軟な革質。-- 子嚢は円筒形で有蓋、厚膜で基部付近は細くなって曲がりくねる。8胞子を一列に生じる。440-470 × 13.0-17.2 μm. -- 側糸は糸状、ほとんど無色、隔壁がある。直径 2.0-2.8 μm.。所々で数珠状に膨らむこともある。先端付近で2-3度分岐し、先端は 3.6 μm. までに膨らむ。 この側糸の他に、直線状、やや太めで隔壁がほとんど見られない側糸が見られる事もある。-- 子嚢胞子は太いソーセージ形、無色平滑。大きめな2-4個の油球と、細かい泡状の内容物がある。26.3-30.6 × 9.2-10.4 μm. -- 托髄層はゼラチン質、かなり疎な絡み合い菌組織でほとんど無色、隔壁があり、分岐する直径 2.5-3.5 μm. の菌糸からなる。 子実下層は密に絡み合ったやや褐色の菌糸からなり、厚さ 100-150 μm. 程度。 外皮層は数層の黒褐色厚膜、直径 8-14 μm. の多角形細胞よりなる。表面からは直径 5-8 μm. の毛状菌糸が立ち上がる。 褐色で厚膜だが先端付近は淡色でやや薄壁になり先端は丸い。柄付近の菌糸は長めで緩やかに屈曲する。

[コメント]
オキナワジイの枯木に発生していたもの。 奄美大島で昆虫への地球温暖化の影響を研究しておられる前園泰徳氏(京都大学COE博士研究員)が発見、採集したものを送っていただいた。 子嚢胞子がソーセージ形に曲がっているのが特徴である。 子実層にある直線状の毛 (Hymenial hairs) は Rifai によれば "numerous" とあるがほとんど見られない子実体も多い。 熱帯から亜熱帯地域に分布する種のようである。

[参考文献]
Rifai (1968): The Australasian Pezizales in the herbarium of the Royal Botanic Gardens Kew. (Verh. der K. Nederlandse Akad. van Wetens. Afd. Natuurkunde ; d. 57, no. 3)

[初掲載: 2008.02.12]