Pleochaeta shiraiana

Pleochaeta shiraiana

Pleochaeta shiraiana (P. Henn.) Kimbrough & Korf
エノキ裏うどんこ病菌。11月23日撮影。

[特徴]
菌叢は葉の裏面に生じ、永存性で厚い白色綿状に拡がる。菌糸は薄壁、隔壁と分岐があり、径 3-5 μm.。 裂子嚢殻は菌叢中に散生あるいはやや密生し成熟後は脱落しやすく、 扁球形、初めは飴色、のち茶褐色から黒色になり、径 220-300 μm.、子嚢殻表面は径 10-20 μm. 程度の多角形で褐色の厚膜細胞からなる。 子嚢殻側面やや上部に多数の付属糸を密に生じ、斜め上方に伸びて環状に拡がり、肉眼では白い襟状に見える。 付属糸は無色、厚膜、隔壁は認められない。直線的あるいは緩やかに屈曲し、長さ 140-200 μm. 程度、基部付近で径 4-5 μm.、中央付近でやや広くなることがあり、径 6.5 μm. まで。 先端は1-1.5回転ほどの渦巻状になり、その径は 10-14 μm. 程度。子嚢殻中の子嚢は20-30個、あるいはそれ以上に及ぶ。-- 子嚢は長円形、広楕円形、卵形等、比較的厚膜、短い柄がある。3あるいは4個の子嚢胞子を生じる。71-80 × 28-34 μm. -- 子嚢胞子は俵形ないし長卵形、平滑、僅かに黄色味を帯び、内容は泡状。25.8-34.3 × 16.5-20.4 μm. -- 分生子柄は表面の菌糸より生じ、数個の隔壁があり、径 5.5-7.2 μm.、基部付近で数回のS字螺旋状をなし、長さ 150-240 μm.、表面は僅かに細点状に見え、先端に分生子を単生する。-- 分生子は1次分生子と2次分生子があり共に僅かに黄色味を帯び、フィブロシン体を含まず、表面は平滑あるいは僅かに不完全な粗い脈状の隆起がある。発芽管は両端近くから出る。 1次分生子は基部側が太い細卵形、基部は僅かに平らになり、51.4-58.7 × 14.2-17.2 μm.。 2次分生子は先端側が太い棍棒形、基部は平ら、先端には時に小さな顆粒状の付着物があり、42.9-68.7 × 13.7-18.6 μm.

[コメント]
エノキ (Celtis sinensis) の葉裏面に生じ、市街地でも普通に発生している。 初秋の頃から葉裏面に白色の厚い菌叢が目立ち始め、分生子が豊富に形成された部分は淡黄色に見える。子嚢果の成熟は晩秋以降になる。 子嚢殻は比較的大型で肉眼でも容易に確認できる。付属糸の正確な数を数えることができないが、200本以上はありそうである。 分生子は1次分生子と2次分生子が形成されるが、上下を逆にすると形が一見類似しているので、分生子柄から脱落した分生子では区別が難しい場合がある。 大谷 (1988) などでは分生子の二形性については触れられていない。

[別図2] 11月23日撮影。
[別図3] 9月29日撮影。分生子が形成されると菌叢が淡黄色に見える。

[参考文献]
Kimbrough and Korf (1963): Nomenclatural notes. V. Uncinula polychaeta and the genera Pleochaeta and Uncinulopsis. (Mycologia ; 55, p. 619-626).
大谷 (1988): 日本菌類誌. 第3巻、子のう菌類. 第2号、ホネタケ目・ユーロチウム目・ハチノスカビ目・ミクロアスクス目・オフィオストマキン目・ツチダンゴキン目・ウドンコキン目.
佐藤 (2002): うどんこ病菌の形態と観察方法. (植物防疫 ; 56(6), p. 274-280).

[初掲載日: 2022.01.22, 最終更新日: 2022.10.10] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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