Podostroma sp. no.1

Podostroma sp. no.1

Podostroma sp. no.1. = Hypocrea leucopus (Karst.) H. Chamb.?
ツノタケ属菌。9月1日撮影。

[特徴]
子実体は地上生、稔実部である頭部と柄からなる。頭部は長さ 6-10 mm.、幅 3-5 mm. の楕円形、淡象牙色から淡たまご色、 表面には飴色の子嚢殻先端が細点状に見えるがほとんど突出しない。柄との境界ははっきりしている。 柄は円筒形、ほとんど白色で平滑、軟らかい肉質で内部も白色。長さ 3-4 cm.、幅 2-4 mm. -- 子嚢殻は広楕円形、180-190 × 140 μm. 程度。-- 子嚢は円筒形、先端は平らでやや肥厚する。8胞子を一列に生じる。70-83 × 2.8-3.6 μm. -- 子嚢胞子は成熟すると子嚢内で上下2つに分かれる。ほとんど無色、表面はわずかに粗面(細かい疣状)に見える。 上半の胞子はほぼ球形、直径 2.2-2.8 μm.、下半の胞子はやや縦長で末端はやや尖る。2.2-2.6 × 3.0-3.5 μm.

[コメント]
雑木林内の地上に発生していたもの。一見冬虫夏草類のように見えるが基部は根状にはならず落葉片等から直接発生している。 単一棍棒状の子実体をもつ Podostroma 属は日本では P. cordyceps や P. alutaceum 等が知られている。 「日本のきのこ」(山と渓谷社)に掲載されている P. alutaceum は頭部と柄の境界が連続的で朽木から発生していて、色彩もかなり違っている。 スイス図鑑のものはやや色彩が濃いが基本的に「日本のきのこ」のものに近く、やはり朽木生だ。 Chamberlain によれば P. alutaceum のシノニムとされていた Podostroma leucopus は幾つかの点で区別できる別種とされている。 図示したものは頭部と柄が明瞭に分かれている点や淡色の子実体等 P. leucopus によく似ていると思う。 Podostroma leucopus は Chamberlain の論文では Hypocrea 属に移されている。

[参考文献]
Chamberlain et al. (2004): The stipitate species of Hypocrea (Hypocreales, Hypocreaceae) including Podostroma. (Karstenia ; 44, p. 1-24)

[初掲載: 2008.01.21]