Rhytidhysteron hysterinum

Rhytidhysteron hysterinum

Rhytidhysteron hysterinum (Dufour) Samuels & E. Müller
リティドヒステロン ヒステリヌム。10月7日撮影。

[特徴]
子実体は落枝の樹皮下から樹皮を破って生じ、散生ないしやや群生する。 初めは閉じた唇状(時に Y 字形等になる)で長径 1.5-3.0 mm. 程度、両端はやや尖り、肉厚、外面はほとんど黒色、つやは無く、乾燥時には縦に少数の亀裂がある以外は平滑。 太く短い柄がある。全体に比較的硬い。 成熟した子実体は、湿ると幅 1-2 mm. 程度に開いて広紡錘形の不整盤状になり子実層面が現れる。子実層面はややざらついた感じでチョコレート色。縁は盛り上がって内屈する。-- 子嚢は円筒形、厚膜(二重膜)でメルツァー試薬に呈色しない。基部はやや細くなり、8胞子(稀に4胞子)を一列に生じる。210-235 × 16.5-21.6 μm. -- 偽側糸は糸状、無色、隔壁があり径 1.5-2.0 μm. 程度。先端は子嚢より僅かに長く伸びて子実上層となり、全体がゼラチン質様の物質に包まれ、上半はメルツァー液で青変する。 上部の2-3細胞はやや膨らみ、先端細胞は棍棒状、径 5 μm. までになり、褐色不定形のヤニ状物質が付着する。-- 子嚢胞子は広紡錘形、褐色、厚膜、ほとんど平滑、ほぼ中央に隔壁を生じ2細胞、隔壁部はややくびれる。時に一端(おそらく先端側)は小さく尖る。 未熟時には泡状の内容物があるが、後に不明瞭になる。27.5-32.9 × 11.1-12.9 μm. -- 托組織外層は径 5-10 μm. 程度の黒褐色厚膜の多角形細胞からなる。

[コメント]
シイ林内の落枝に発生していた物。おそらく寄主はツブラジイ (Castanopsis cuspidata) と思われる。 Rhytidhysteron rufulum としたものと似ているが、子嚢胞子が2細胞なので区別できる。 肉眼的には、子実体外面に細かい畝状の隆起が無く、ほとんど平滑な点が異なる。Samuels and Müller (1979) は、寄主としてツゲ属 (Buxus), モチノキ属 (Ilex), カキノキ属 (Diospyros) 等を挙げている。

[別図2] 10月7日撮影。霧吹きで湿らせて約3時間後に撮影したもの。

[参考文献]
Magnus (1997): Weltmonographie der Triblidiaceae. (Bibliotheca mycologica ; Bd. 165, p. 1-177).
Samuels and Müller (1979): Life-history studies of Brazilian Ascomycetes. 7. Rhytidhysteron rufulum and the genus Eutryblidiella. (Sydowia ; 32, p. 277-292).
Soto-Medina and Lücking (2017): A new species of Rhytidhysteron (Ascomycota: Patellariaceae) from Colombia, with a provisional working key to known species in the world. (Revista de la Academia Colombiana de Ciencias Exactas, Físicas y Naturales ; 41(158), p. 59-63).

[初掲載日: 2020.10.23] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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