Scirrhiella curvispora

Scirrhiella curvispora
Scirrhiella curvispora

Scirrhiella curvispora Speg.
オカメザサごま竹病菌。6月20日撮影。

[特徴]
子座は表皮下に生じる。長紡錘形でわずかに盛り上がり、黒褐色、長さ 2 mm. 程度まで。 成熟すると正中線の表皮が割れて子座上部が露出し、子嚢殻の孔口が現れる。 一子座中に数個から10個程度の子嚢殻をほぼ一列に生じるが、中央付近では2列になる場合もある。-- 子嚢殻は埋生、やや扁平な不正球形、黒色、成熟すると頂端は孔口となって子座の上部表面に開く。直径 230-350 μm. -- 子嚢は棍棒形、一重壁(幼時やや厚膜)、メルツァー試薬で呈色しない。8胞子をほぼ2列に生じる。120-135 × 30-36 μm. -- 側糸は糸状、無色、隔壁があり、径 3-5 μm.、成熟した子嚢殻中のものはややゼラチン化しているように見える。-- 子嚢胞子は長楕円形、単細胞、平滑、ほとんど無色、両端は丸く、下半はやや細まり基部側 1/4 あたりで鈍角に曲がる。 内容物は初めは全体が細かい泡状だが、後に1個(時に2個)の大型の油球を中心付近に生じる。42.5-54.4 × 10.8-12.8 μm.

[コメント]
オカメザサ (Shibataea kumasaca) の枯稈に発生したもの。 植物病原菌類図説 (1992) には子嚢は「頂端は壁がやや厚く円頭で、ヨードで薄く青変する円盤状の頂部構造」がある、と記述されている。 子嚢頂端がやや肥厚するのは確認できたが、ヨード反応を確認できなかった。 また同書には Scirrhiella 属は「近縁の Apiospora 属からは子のう胞子が単細胞で曲がっていることで区別される」とあるが、 Dictionary of the fungi. 10th ed. では Apiospora のシノニムとされている。 Scirrhiella は未熟な Apiospora ではないかとの疑問もあるが、射出された子嚢胞子にも隔壁を持った2細胞のものは確認できなかった。

[参考文献]
Barr (1976): Buergenerula and the Physosporellaceae. (Mycologia ; 68, p. 611-621).
Hino (1961): Icones fungorum bambusicolorum Japonicorum.
Petrak (1951): Ergebnisse einer Revision der Grundtypen verschiedener Gattungen der Ascomyzten und Fungi imperfecti. II. (Sydowia ; 5, p. 328-356).

[初掲載日: 2016.07.11]