Tuber sp. no.2

Tuber sp.

Tuber sp. no. 2.
黒トリュフ類 "イボセイヨウショウロ"。11月21日撮影。

[特徴]
林内の地上に半裸生あるいは地中浅い所に発生する。子実体は塊状で硬く、直径 4-6 cm.。 表面は黒褐色で多角形錐状の突起に覆われる。突起は径 2-3 mm.、高さは 1-2 mm. 程度。 内部は充実していて、白色の迷路状の不稔部と黒褐色の子実部があり、霜降り模様になる。顕著な匂いは感じられない。-- 子嚢は楕円形や卵形等、不明瞭な短い柄を持つものがある。薄壁、メルツァー液に呈色せず、1-4個の子嚢胞子を生じる(2か3の場合が多い)。 60-75 × 42-63 μm.。子嚢の周辺には径 3-10 μm. 程度の無色でやや密な柔組織状の細胞があり、不規則に膨らみ、屈曲する。-- 子嚢胞子は楕円形、初めは無色、後には褐色を帯びる。全体にとげ状突起があり、内容は径 5 μm. までの油球がある。 とげ状突起は高さ 4-5.2 μm. までになり、ややひれ状、先端はとがり、全体がくちばし形に緩く曲がる物が多い。突起は基部では時に互いに繋がって不完全な網目状になる。 子嚢胞子の大きさはばらつきが大きく、子嚢中の子嚢胞子の数が少ない場合には大型になる傾向がある。25.8-35.6 × 17.7-21.5 μm. -- 子実体内部の不稔白色部はやや厚膜で無色の絡み合い菌糸よりなり、殻皮は厚さ 300 μm. 程度、径 30 μm. 程度までの褐色厚膜の多角形細胞よりなる。

[コメント]
コナラ林に発生したもの。見つける機会は少ないが、何でもないような場所にごろごろと発生している事がある。 かつては稀菌と思われていた日本のトリュフ類だが、発生環境の把握と探索の努力さえすれば案外見つかるようで、国内でも複数の類似種が確認されている。 これは広義の "イボセイヨウショウロ" に当てはまると思うけれど、学名については Tuber indicum あるいはその近縁種、としておく。 トリュフ類には毒菌は無いはずだから試食してみたけれど成熟の度合いが悪かったのだろうか、匂いが殆ど無く特においしいとも思わなかった。

[別図2] 子実体断面部の拡大。同日撮影。

[参考文献]
Kinoshita, Sasaki and Nara (2011): Phylogeny and diversity of Japanese truffles (Tuber spp.) inferred from sequences of four nuclear loci. (Mycologia ; 103(4), p. 779-794).

[初掲載日: 2014.02.28]