Tuber sp. no.3

Tuber sp.

Tuber sp. no. 3.
セイヨウショウロ属菌。11月28日撮影。

[特徴]
林内の地上に半ば裸生する。子実体は類球状で硬く、最大直径 32 mm.、表面は茶褐色で多角錐状の突起に覆われる。突起は径 0.5 mm. 程度、高さは 0.3 mm. 程度まで。 下面には明瞭な陥没がある。内部は充実していて、白色の迷路状の不稔部と茶褐色の子実層部があり、霜降り模様になる。海苔の佃煮の様な独特の強い臭いがある。-- 子嚢は子実層に散在する。広楕円形や亜球形など、やや厚膜、メルツァー試薬に呈色せず、58-75 × 54-72 μm.、短い乳頭状で長さ 6 μm. 程の柄があるものが多い。 1ないし7個の子嚢胞子を塊状に生じるが、4個から6個の場合が多い。-- 子嚢胞子は楕円形、厚膜、初めは無色で泡状の内容物が目立つが、後には黄褐色になり内容物は不明瞭になる。表面はやや不完全な網目模様になるとげ状突起に被われる。 大きさはばらつきがあり、一子嚢中の子嚢胞子の数が少ない場合には大型になる傾向がある。 1子嚢に1個の子嚢胞子で 34.3-37.2 × 22.5-23.2 μm.、6個のもので 18.2-22.9 × 14.0-16.9 μm.。 子嚢胞子表面の突起はとげ状、黄褐色、高さ 4.2-5.8 μm.、先端はときに小さく鉤状に曲がり、基部付近は径 1.5 μm. 程度、円錐状に拡がりながら数本に分かれて周囲に伸び、隣のとげと互いに連絡して径 3-8 μm. 程度の多角形の網目状の隆起になるが、時に不完全。-- 子実部は径 5-15 μm. の無色薄壁の菌糸からなる絡み合い菌糸組織で、子嚢が不規則に散在する。白色の不稔部分はやや細めの無色の細胞からなる。 外皮層の内層は内部の子実層部から続き、境界はやや不明瞭、厚さ 200-300 μm. 程度、ほぼ無色で 45 × 30 μm. 程度までの丸みを帯びた細胞からなり、やや絡み合い菌糸組織状になる。 最外層は径 10-30 μm. の褐色厚膜の多角形細胞からなり、厚さ 100-150 μm. 程度(疣状突起部分を含まない)の硬い外皮となる。

[コメント]
コナラやアラカシを主とした雑木林の林道脇で見つけたもの。落葉の少ない斜面にほぼ裸生していた。 かなり強い臭気があり、子実体のまわりには明るい黄褐色で体長 10mm. 程のやや細身のハエが2匹いたが撮影も採集も失敗した。トリュフバエ (truffle fly) と呼ばれるハエの仲間だと思う。 黒ないし褐色系のトリュフは国内から複数種が報告されていて固有種も多いが、「地下生菌識別図鑑」には該当する種は見当たらない。 中国からも多くの種類が報告されていて、T. pseudohimalayense は特徴が似ていると思う。区別が難しいのでセイヨウショウロ属の一種としておく。

[別図2] 子実体断面部の拡大。同日撮影。

[参考文献]
García-Montero et al. (2010): A review of research on Chinese Tuber species. (Mycological progress ; 9, p. 315-335).
佐々木・木下・奈良 (2016): 地下生菌識別図鑑.
刘培贵 主编 (2016): 中国的块菌(松露).

[初掲載日: 2018.10.26]