Unguicularia aspera

Unguicularia aspera

Unguicularia aspera (Fr.) Nannf.
ウングイクラリア アスペラ。5月23日撮影。

[特徴]
シダの枯れた葉柄上にやや群生する。 子嚢盤は壷形から深い椀形になる。径 0.4 mm. 以下、子実層面は淡褐色を帯び、やや半透明。外面は微毛状、上半はほぼ白色、下半は淡褐色。柄は無く座生する。-- 子嚢は棍棒形、薄壁、先端は肥厚し頂孔はメルツァー試薬で小さな点状に青変する。基部にかぎ型構造は見られない。8胞子をほぼ2列に生じる。57.2-71.5 × 6.3-10.0 μm. -- 側糸は糸状、無色、ほぼ上下同幅、隔壁があり、径 2 μm. 程度。-- 子嚢胞子は棍棒形、先端側が太く末端側は次第に細くなる。僅かに左右不対称、薄壁、無色。顕著な内容物は見られない。9.1-13.5 × 2.2-2.9 μm. -- 托組織皮層は矩形菌組織、最外層は淡褐色でやや厚膜だが、それ以外は無色。12-20 × 5-7.5 μm. 程度。 外面の毛は表面から生じ、長円錐形ないし鞭状、緩やかに屈曲し、先端は細くなるが顕著には尖らない。先端は稀に分岐するものがある。 基部に短くて広い内腔があるが、それ以外は無色で一様なガラス様。40-77 × 5.2-7.2 μm.

[コメント]
シダの枯れた葉柄上に発生していた物。シダの種類は不明だが、ゼンマイ (Osmunda japonica) かと思われる。 Raitviir (2004) は Olla 属 (Olla aspera (Fr.) Raitviir) に置いている。 日本からは Urceolella aspera (Fr.) Boudier として細矢・大谷 (1995) によって報告されているが、 その基となった標本 (TRL-1028) をホロタイプとして後に Urceolella brunneola Hosoya が新種記載されている。 私の採集菌も Urceolella brunneola の可能性があるが、どちらかと言えば Unguicularia aspera に近い特徴を持つ様に思われるので、 仮に Unguicularia aspera の学名を当てておく。

[参考文献]
細矢・大谷 (1995): ガラス様の毛を有する日本産ヒアロスキファ科菌類. (日本菌学会第39回大会講演要旨集 ; p. 75).
Bøhler (1974): Taxonomic studies on some Norwegian Helotiales (Ascomycetes) on fern remains. (Norwegian journal of botany ; 21, p. 79-100).
Hosoya and Otani (1997): Hyaloscyphaceae in Japan (2): Glassy-haired members of the tribe Hyaloscypheae. (Mycoscience ; 38, p. 187-205).
Raitviir (2004): Revised synopsis of the Hyaloscyphaceae. (Scripta mycologica ; 20).

[初掲載日: 2016.03.28]