似ている証紙

異なる出版社の検印証紙のデザインが妙に似ていることがある。
出版社が名称変更した場合や、同系列の出版社の場合もあるだろう。
あるいはデザインした人物が同じなのかもしれない。全くの偶然、という場合も考えられる。

[1] 臼井書房と牧書房

學徒宣言 / 臼井喜之介, 臼井書房, 1943.(左)と、勞動組合讀本 / 平野武雄. 牧書房, 1947.(右)より。
中央の牛は、角の形、白い腹部、手前に振られた尾、足の配置までそっくりだ。
周囲を出版社の字で囲んでいる点(臼井書房の絵は「臼」の字が枠になっている)もよく似ている。
usui maki

[2] 三笠書房と二見書房
是清翁遺訓 / 大久保康夫. 三笠書房, 1936.(左)と、北京襍記 / 奥野信太郎. 二見書房, 1944.(右)より
装飾のある方形枠の左下に小さく図柄が入っているのが何となく似ている。
二見書房の絵は二見が浦だが、三笠書房の方はよくわからない。動物が鹿だとすると奈良の三笠山だろうか?
そうだとすると、書店名に縁のある風景を題材にしているという点も同じだ。
mikasa maki

[3] 甲鳥書林と世界文學社
日本哺乳動物史 / 直良信夫. 養徳社, 1944.(左)と、人間的自由の本質 / 西谷啓治. 世界文學社, 1948.(右)より
甲鳥書林は養徳社の合併前の社名。上下に横線、左右の柱に白抜きの社名という体裁が同じだ。色も似ている。
kocho sekai

[4] 東京武蔵野書院、武蔵野書院、紫乃故郷舎
左から、国文學通論 / 久松潜一. 東京武蔵野書院, 1944.、 方言学概説. 武蔵野書院, 1962.、 能楽の鑑賞 / 田中允. 紫乃故郷舎, 1949. より
植物は異なるが全体の構成がよく似ている。東京武蔵野書院の植物が「むらさき」なのと紫乃故郷舎の社名は無関係なのだろうか。
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[5] 大日本漢文學會と昭晃堂
東洋倫理綱要 / 服部宇之吉. 大日本漢文學會, 1916.(左)と、 東亞の鑛物資源 / 内田義信. 昭晃堂, 1940.(右)より
左右の花の数が違うが、全体の構図はとてもよく似ている。
toa shoko

[6] 創元社と日本軍事圖書株式會社
岡倉天心全集. 創元社, 1944.(左)と、川村純義・中牟田倉之助傳 / 田村榮太郎. 日本軍事圖書株式會社, 1944.(右)より
家紋だろうと思うが陰画と線画の違い以外は同じ。
sogen nihongunji

[7] 日光書院と吾妻書房
西蔵・印度の文化 / 岩井大慧. 日光書院, 1942.(左)と、三つの人形芝居 / 廣川清. 吾妻書房, 1963.(右)より。
nikko azuma