クルティウス・ルフス

歴史上の人物について調べる時、手始めに岩波西洋人名辞典を良く使っている。
増補版がでたのが1981年だからもう随分古く、現代の人を調べるのにはあまり適さないがコンパクトで収録人数が多いので重宝している。
最近は Wikipedia とかで調べることも多いのだが岩波の方が解説が簡潔なだけにわかりやすい。
執筆者には多くの研究者の名前が挙げられていて、それぞれが専門分野の人物について執筆した項目を編集したものであるが
編集の際の見落としであろう、同じ人が二ヶ所に掲載されているのを見つけた。

まず 465 ページ。
クルティウス・ルフス Curtius Rufus, Quintus.1世紀のローマの歴史家。
クラウディウス帝の時代(41-54)に「アレクサンドロス大王史 De rebus gestis Alexandri Magni, 10巻」を著した。
最初の2巻は完全に散佚し、他にも欠けた部分がある。興味本位に綴られ、対象の深い理解もなく、史実の正確さも信頼できない。」

次に 1686 ページ。
ルフス Rufus, Quintus Curtius. 1世紀のローマの修辞学者、歴史家。「アレクサンドロス大王伝, 10巻」を書いたが、現在では所々欠けている。
厳密な歴史というよりは物語風なもの。」

クルティウス・ルフスの伝記については不明な所も多いが明らかに同一人物の重複だ。記述が微妙に違うのが面白い。
ローマ人の名前は現在の姓名とは構成が若干異なるし慣用もあるので一概に言えないが、見出しとしては
「クルティウス・ルフス」が一般的だろうと思う。
この「アレクサンドロス大王伝」が最近、京都大学学術出版会から「西洋古典叢書」の一冊として刊行された。
(この本でも背表紙の著者名は「クルティウス・ルフス」になっている。)
訳者の谷栄一郎氏の解説には「ラテン文学の中でも最も面白い作品の一つと言える」とある。
それなら読んでみようか、と思った。面白ければこれをきっかけにして「西洋古典叢書」の他の作品を読んでみるのもいいかも知れない。
なにしろ「西洋古典叢書」はすべてのギリシャラテンの古典を翻訳刊行するという壮大な計画の下に進められているのだ。
どれどれ、「興味本位に綴られ」た「最も面白い作品」とはどんなものだ?

うーん... これが最も面白いのか... ラテン文学恐るべし。興味本位には読めないな。

(2007.06.29 記)