検印・検印用紙覚え書き. IV. 大きな検印用紙

検印用紙には様々な大きさのものがあるが、郵便切手と同じくらいの大きさのものが大半である。
形がやや縦長な点や、切り離しやすいように目打ちを入れているものなど、デザイン的にも切手に似ている。
検印用紙は著者に押印してもらうものだから、普通の印鑑がはみ出さないだけの大きさが必要だし、
印影が判読しやすいように中央付近は無地の窓を開けておくのが一般的だ。
そして周囲に出版社が独自の模様や意匠をあしらい、しかも貼付に便利な大きさ、となると切手大が適当だろう。
しかし、なかには大きな検印用紙を使っている出版社がある。一辺が5センチを超える例を挙げてみる。(ほぼ2倍弱に拡大)

[例1]: 映畫探求 / 滋野辰彦. 第一藝文社, 1937. -- 53 × 82 mm. (4346 mm²). [実見できた検印用紙の中で最大のもの。]
[例2]: 湖白庵諸九尼全集. 湖白庵諸九尼全集刊行会, 1960. -- 56 × 77 mm. (4312 mm²).
[例3]: 安南民族運動史概説 / 大岩誠. ぐろりあ・そさえて, 1941. -- 62 × 62 mm. (3844 mm²).
[例4]: 一揆・雲助・博徒 / 田村榮太郎. 三笠書房, 1935. -- 51 × 70 mm. (3570 mm²).
[例5]: タイヤルは招く / 大島正滿. 第一書房, 1935. -- 44 × 67 mm. (2948 mm²).
[例6]: 芭蕉と初心 / 山崎喜好. 靖文社, 1947. -- 53 × 50 mm. (2650 mm²).
[例7]: 本邦古硯考 / 内藤政恒. 養徳社, 1944. -- 53 × 48 mm. (2544 mm²). [養徳社は甲鳥書林などが統合して1944年に設立された。]
[例8]: 鬼言冗語 / 岡鬼太郎. 岡倉書房, 1935. -- 43 × 55 mm. (2365 mm²).

(2021.02.22 記)