Appendiculella calostroma

Appendiculella calostroma

Appendiculella calostroma (Desmazières) Höhnel
キイチゴ類すす病菌。10月27日撮影。

[特徴]
生葉上に黒褐色の菌叢が拡がる。普通は表側のみに拡がるが、時に裏面にも発生する。菌叢は薄く、径 2-5 mm. 程度、時に融合して拡がり、ほぼ葉面全体を覆うこともある。 菌糸は表在性、黒褐色、厚膜、平滑、隔壁があり、径 5-7 μm.、やや屈曲して分岐しながら放射状に伸び、菌足を互生する。 菌足は各細胞の先端側の隔壁近くに生じてやや斜め前方に伸び、2細胞、普通は互生するが時に片側にのみ生じる。 基部細胞は長さ 5-8 μm.、頂細胞は丸みを帯びた多角形あるいは短い突起が3-5本出てやや掌状、径 10-16 μm. までになる。-- 偽子嚢殻は菌叢中に散生し、黒色、扁球形、径 200-260 μm.、表面は黒褐色、厚膜、径 8-13 μm. の多角形細胞からなる。 孔口は認められず、偽子嚢殻上面には数本ないし十本程度までの付属糸がある。 付属糸は不整円錐状の短角形 (larviform)、先端は丸く、僅かに鉤状に曲がるものが多く、長さ 55-90 μm.、基部で径 28-35 μm.、褐色、厚膜、ほぼ平滑、数本の細い淡色で溝状の横輪模様がある。-- 子嚢は多数、楕円形ないし広卵形、薄壁、4胞子を生じる。62-72 × 34-40 μm. -- 子嚢胞子は長俵形で両端は丸く、時にやや左右不対称、黒褐色、やや厚膜、平滑、40-46 × 11.5-15.0 μm.、ほぼ等間隔に3隔壁を生じ4細胞、隔壁部は括れる。 内容物は泡状あるいは各細胞に1つの大きな油球が目立つ。全体に薄い被膜がある。

[コメント]
未同定のキイチゴ (Rubus sp.) の葉上に発生したもの。キイチゴ類に比較的普通に発生する。 付属糸の付き方の詳細が観察できなかったが、子嚢殻上面にやや輪状に付き、斜め上方に放射状に伸びている様である。

[参考文献]
Hansfold (1961): The Meliolineae : a monograph. (Sydowia. Beiheft ; 2).
Hansfold (1963): Iconographia Meliolinearum. (Sydowia. Beiheft ; 5).

[初掲載日: 2021.11.08] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
All rights reserved. Copyrighted by Masanori Kutsuna, 2021.