Astrocystis sp. no.1

Astrocystis sp. no.1

Astrocystis sp. no.1.
アストロキスティス属菌。10月2日撮影。

[特徴]
子座は表在性、黒色炭質で硬く、乳房状、表面はほぼ平滑でツヤは無い。一個の子嚢殻を含み、頂部中央には孔口が小さく突出し、基部は周囲に裾野状に薄く広がる。径 0.4-0.6 mm.、高さ 0.25-0.4 mm. -- 子嚢は円筒形、薄壁、先端リングはメルツァー試薬で青変し、長さ 4 μm. 程度の筒状で先端部は鍔状に拡がる。8胞子を一列に生じる。 100-110 × 7.1-8.6 μm. -- 側糸は鞭状で無色、薄壁、疎らに隔壁があり、基部付近で径 5-7 μm. 程度。-- 子嚢胞子は紡錘形、両端は鈍頭、やや左右不対称、黒褐色、平滑。未熟な子嚢胞子では2ないし3個の大きな油球が目立つが、後には不明瞭になる。 平坦な側にほぼ全長に亘る直線的な発芽スリットがあり、全体に薄いゼラチン質の被膜がある。13.7-14.9 × 5.4-5.7 μm.

[コメント]
ササ(おそらくクマザサ)の枯れた稈に発生していたもの。Astrocystis 属だろうと思う。子座はクチクラ下から発達しているようにも見えるが詳細を観察できなかった。 Hino (1961) にある Rosellinia muroiana Hino & Katumoto は、 Læssøe and Spooner (1993) では疑問符付きで Astrocystis sublimbata (Durieu & Mont.) Hughes のシノニムとされているが、 子嚢胞子が一回り大きい (16.2-17.9 × 7.2-8.2 μm.) 以外は大変良く似ていて、私が観察したものはやや未熟なものかもしれない。 日本からは A. mirabilis Berk. & Br. と A. sasae Læssøe & Spooner も報告されているが、それらとも異なる。

[参考文献]
Hino (1961): Icones fungorum bambusicolorum Japonicorum.
Læssøe and Spooner (1993): Rosellinia & Astrocystis (Xylariaceae): new species and generic concept. (Kew bulletin ; 49(1), p. 1-70).
Petrini (1992): Rosellinia species of the temperate zones. (Sydowia ; 44(2), p. 169-281).

[初掲載日: 2018.12.25]