Astrosphaeriella sp. no.1

Astrosphaeriella sp. no.1

Astrosphaeriella sp. no.1.
アストロスファエリエラ属菌。10月23日撮影。

[特徴]
偽子嚢殻は群生、表皮下に生じるが後には突出し表在性となる。低い盾状、表面はほぼ黒色でざらつき、炭質で硬い。直径 1 mm.、高さは 300 μm. 程度。 頚部は細長く伸びて 1 mm. 近くに達し、基部付近で径 150-200 μm. -- 子嚢は円筒形、有柄、やや厚膜、メルツァー試薬に呈色しない。8胞子を2列に生じ、ややらせん状に並ぶ。137-152 × 12.8-14.4 μm. -- 偽側糸は糸状、無色、隔壁は認めにくく、互いに吻合し、径 1.0 μm. 程度。全体がゼラチン質様の被膜に包まれているように見える。-- 子嚢胞子は長紡錘形でわずかに左右不対称、やや厚膜、黄褐色、中央ないしはやや先端よりに隔壁があり2細胞(まれに片方の細胞中央部にも隔壁を生じて3細胞)。 隔壁部はやや括れ、先端側の細胞の隔壁に接する部分は僅かに膨らむものが多い。各細胞は一列に数個の油球を含むが、後には不明瞭になる。 子嚢胞子表面には縦にすじ状の隆起があり、片面に8-10本程度認められる。38.6-50.0 × 6.0-6.9 μm. -- 偽子嚢殻断面の内面、周辺部には縦に並ぶ柵状組織がある。

[コメント]
林道わきに積み上げられたヨシと思われる枯稈(おそらく捨てられた古いよしず)に生じていた物。 Astrosphaeriella 属だと思うが、邦産既知種には該当するものが見当たらない。 参考文献の検索表でたどり着く Astrosphaeriella africana Hawksw. は子嚢胞子に縦すじがあり、大きさもほぼ一致するが、頚部はこれほど長く伸びないようだ。

[参考文献]
Chen and Hsieh (2004): Astrosphaeriella from Taiwan, including two new species. (Botanical bulletin of Academia Sinica ; 45(2), p. 171-178).
Hawksworth and Boise (1985): Some additional species of Astrosphaeriella, with a key to the members of the genus. (Sydowia ; 38, p. 114-124).

[初掲載日: 2015.01.13]