Biscogniauxia plana

Biscogniauxia plana

Biscogniauxia plana (Petch) Ju & Rogers
クロイタタケ属菌。12月19日撮影。

[特徴]
子座は樹皮下に生じ、後に樹皮を破って表面に現れる。平板状、縦長の不正楕円ないし雲形に拡がり、径 0.5-2.5 cm. 程度、融合して長さは 10 cm. 以上になることがある。 表面は黒色、ほぼ平滑、つやは無く、子嚢殻の孔口はややまばら(1 mm. に3-4個程度)で殆んど突出せず(時に少しくぼんで見える)目立たない。 厚さは 0.6 mm. 程度までで縁部では薄い。炭質で脆く、内部も黒色、子嚢殻が一層に密に並ぶ。KOH水溶液で色素を溶出しない。 子座上面の樹皮は子座の成熟に従って浮き上がり、やがて不規則にめくれて反り返り周囲に付着するが後には脱落する。 めくれた樹皮の内側(子座に接していた面)は濃紫褐色。腐朽材は白腐れ状で帯線は確認できなかった。-- 子嚢殻は細楕円形ないし円柱状、450 × 60-75 μm. 程度、複数の子嚢殻の頚部が集まって一つの孔口を共有していると思われる。-- 子嚢は円筒形、短い柄があり、先端は肥厚し、先端リングは径 2.5 μm. 程度の短い筒状でメルツァー試薬で青変する。8胞子を一列に生じる。97-110 × 6.2-7.2 μm. -- 側糸は長い鞭状、無色、隔壁があり、基部付近で径 6 μm. 程度、先端付近は細く伸びて径 1 μm. 程度。-- 子嚢胞子は楕円形から広紡錘形、僅かに左右不対称、暗褐色、平滑、平らな側にほぼ全長に亘る直線状の発芽スリットがある。被膜や付属糸は見られない。 未熟な子嚢胞子は1-3個の大きな油球が目立つが後には不明瞭になる。10.9-12.9 × 5.4-6.6 μm.

[コメント]
クスノキ (Cinnamomum camphora) の倒木に発生していたもの。枝にはまだ葉が残っていてかなり新しく、おそらく2018年9月の台風21号で倒れたものと思われる。 子嚢殻は径 100 μm. 以下と細い一方、子座表面の孔口は 1 mm. に3-4個程度とまばらなので、複数個の子嚢殻が共通の孔口を持つはずだが、 頚部が斜めに伸びている子嚢殻は確認できたものの、孔口の詳細な構造を確認できなかった。台湾でもクスノキからの記録がある。
ところで、属名 Biscogniauxia の正しい読み方がよく判らないのだが、「ビスコニョークシア」だろうか。 この属名は植物学者の A. Cogniaux(ベルギー人、1841-1916)に因む。Cogniaux は "コニョー" と発音するのが正しいと思うのだが、学名になったときはどう読むのが妥当なのだろう。

[参考文献]
Ju et al. (1998): The genus Biscogniauxia. (Mycotaxon ; 66, p. 1-98).

[初掲載日: 2019.01.18] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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