Cenangium ferruginosum
Cenangium ferruginosum Fr.
マツ類皮目枝枯病菌。6月1日撮影。
[特徴]
比較的細い枯枝に群生する。子嚢盤は表皮下から一個あるいは少数が発生し、表皮を破って現れる。初め椀状、後にほぼ平らな皿状に開き、径 3 mm. 程度までになる。
子実層面は平滑、汚黄色から淡黄褐色ないしややオリーブ色を帯び、縁は裂片状で時に反り返る。外面はやや粗造、黒褐色で、黄さび色のフケ状物を被り、ほとんど無柄あるいは太くて短い柄がある。
湿時は柔軟だが、乾燥するとやや硬い革質になり、皺を生じて縮み内屈する。KOH水溶液中で黄褐色ないし橙褐色の色素を溶出する。--
子嚢は円筒形、先端に明瞭な肥厚や頂孔は認められず、メルツァー試薬に呈色しない。基部にはかぎ形構造がある。8胞子をほぼ一列に生じ、上半は時に2列になる。108-134 × 12-14.8 μm. --
側糸は糸状、隔壁があり基部で分岐し、時に吻合する。径 1.5-2.0 μm.、先端は次第に膨らんで 2.8-3.5 μm.、淡黄褐色の顆粒状内容物が少量あり、全体が粘質の被膜に包まれる。--
子嚢胞子は楕円形ないし広卵形、ほぼ無色、薄壁、平滑、内容物は泡状、全体にゼラチン状の薄い被膜がある。9.1-10.9 × 5.7-6.3 μm. --
子実下層は径 5 μm. 程度までの丸みを帯びた淡褐色の細胞からなる。托組織髄層はやや厚膜、無色、径 2.5-4.0 μm. の菌糸からなる絡み合い菌組織でややゼラチン質。
外皮層は厚さ 25 μm. 程度、褐色、厚膜の丸みを帯びた径 4-7 μm. 程度の細胞からなり、外面は黄褐色の不定形ヤニ状物で厚く覆われる。
[コメント]
伐採、野積みされたアカマツ (Pinus densiflora) の枯枝に発生していたもの。子嚢頂孔は不明瞭で、子嚢胞子放出後の子嚢先端は不規則に裂けているように見える。
[別図2]
6月1日撮影。乾いた状態の子実体。
[参考文献]
小林・真宮 (1963): マツ類の皮目枝枯病菌. (林業試験場研究報告 ; 161, p. 123-150 + 2 plates).
[初掲載日: 2023.08.24] //
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