Ciborinia? sp. no.1
Ciborinia? sp. no.1
サカキの葉に形成される菌核から生じるキンカクキン類。5月15日撮影。
[特徴]
子実体は菌核化した宿主組織から1ないし数個発生する。
菌核はサカキ (Cleyera japonica) の落葉に形成され、楕円形やボート形等で 4-10 × 6-35 mm.、葉脈に沿って伸びるものが多い。
厚さ 0.5-1.0 mm. 程度、表面はややつやがあり黒褐色。
子嚢盤は有柄、椀形から平盤状になり淡褐色。直径 4-12 mm. 外面はほとんど平滑でやや放射状の皺が基部にかけて見られる。
柄は径 1mm. 程度の黒色ひも状、菌核が地中にあるものでは長く伸びて 3 cm. 程度までになる。
子嚢は円筒形、8胞子をほぼ一列に生じる。頂孔は I+。85-98 × 6.6-8.0 μm.
側糸は糸状、下方に隔壁がある。ほとんど上下同幅で径 2.0-2.5 μm.
子嚢胞子は卵形で時にやや左右不対称。無色薄壁で平滑、両端近くに小さな油球がある。6.6-8.8 × 3.7-4.6 μm.
子実下層はやや淡褐色。托髄層は無色の絡み合い菌組織、外皮層はやや淡褐色の球形菌組織で径 20 μm. までの数層の細胞よりなる。
最外層の細胞からは時に毛状の菌糸が伸びる。
最初に採集したのはもう10年以上前になるのだが、長円形の菌核の正体がわからなかった。
見つけるたびに周囲の樹種をチェックし、サカキだとわかるのにしばらくかかった。
子嚢盤組織や菌核の様子から Ciborinia 属ではないかと思う。
いくつかの植物病原菌の図鑑類を調べたけれど、サカキに菌核を形成する種は見当たらなかった。