Coccoidea quercicola

Coccoidea quercicola

Coccoidea quercicola Hennings & Shirai
カシ類の裏黒点病菌。5月18日撮影。

[特徴]
葉の裏面(稀に表面にも)に子嚢子座を形成する。葉脈上にも、それ以外の部分にも発生する。 子実体周辺が僅かに退色、黄変することがあるが、殆んど病変が認められないことも多い。 子座は薄いクッション状、直径 1.0-2.5 mm. 程度、厚さは 400 μm. 程度まで。 表面は黒色でつやは無く、ほぼ平滑でルーペ下では上面に偽子嚢殻の凹凸が僅かに判別できるが孔口はめだたない。 下面も黒色、ざらついた感じで中央に短い柄があり寄主組織内に繋がる。組織は黒褐色で厚膜の多角形細胞からなる。-- 偽子嚢殻は子嚢子座の上面表層下に数十個程度が一層に並ぶ。球形ないし楕円形、卵形など。170-200 × 120-200 μm.、多数の子嚢を生じる。-- 子嚢は長い卵形ないし棍棒形、厚膜で先端は特に厚くなるが特別な構造は認められない。8胞子をやや不規則な2列に生じる。71-77 × 15.7-17.2 μm. -- 子嚢とほぼ同長の無色の側糸状の細胞がある。径 2-3 μm. -- 子嚢胞子は楕円形ないし卵形、平滑、僅かに褐色を帯びる。一端に隔壁がある2細胞。大きな細胞は小さな2油球を含むものが多い。 小さな細胞は末端やや側方に傾いて付き、低い乳頭状。11.1-12.9 × 5.7-6.6 μm.

[コメント]
アラカシ、イチイガシ、ウラジロガシなど、常緑性カシ類の生葉裏面に発生する。冬から春にかけての時期に見つける事が多く、落葉上でも成熟した子実体が見られる。 どこにでもあるものでもなさそうだが、目の届くような低い所に発生していないだけかも知れない。 コナラを寄主として挙げている文献もあるが、落葉性のナラ類に発生しているものをまだ見た事がない。

[別図2] 3月21日撮影。アラカシ (Quercus glauca) 生葉裏面に発生しているもの。

[参考文献]
Hennings (1900): Fungi japonici. (Botanische Jahrbücher für Systematik, Pflanzengeschichte und Pflanzengeographie ; 28(3), p. 273-280).
植物病原菌類図説. 全国農村教育協会, 1992.

[初掲載日: 2011.06.14, 最終更新日: 2020.03.30] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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