Coccomyces sp. no.12
Coccomyces sp. no.12
コッコミケス属菌。8月21日撮影。
[特徴]
落葉裏面に発生する。子実体周辺の落葉はやや漂白され、褐色の細い帯線に囲まれるが、時に帯線は不明瞭。
子実体は表皮細胞中に生じ、黒色、丸みを帯びた多角形ないし円盤状、径 0.8-1.2 mm.、上面は僅かに膨らみ、成熟すると上面が4-6片に裂開して反り返り、子実層が現れる。
子実層面は平滑、半透明淡黄色、肉眼では淡緑褐色に見える。--
子嚢は円筒形、薄壁、先端は殆んど肥厚せず、メルツァー試薬に呈色しない。8胞子を束状に生じる。122-140 × 5.6-6.8 μm. --
側糸は糸状、分岐は見られず、上半には隔壁は見られない。径 1-2 μm. 程度、先端は棍棒状に膨らんで 径 4.2-5.2 μm. までになり一様な淡黄色の内容物を含む。
全体が無色ないしわずかに黄色味を帯びるゼラチン様の物質に被われて合着する。--
子嚢胞子は糸状、無色、薄壁、平滑、隔壁は無い。射出された子嚢胞子は緩やかに曲がって弓形になり、先端は丸く、末端はやや尖る。全体に薄い被膜があり、先端ではキャップ状になる。85-97 × 1-1.2 μm. --
子座下面はやや厚膜、黒褐色で径 3-6 μm. の多角形細胞からなり、厚さ 10-18 μm.。
[コメント]
ヤマモモ (Morella rubra = Myrica rubra) の落葉に発生していたもの。Sherwood (1980) の検索表では Coccomyces foliicola (Dennis & Spooner) Sherwood に落ちる。
C. foliicola (= C. boydii f. foliicola Dennis) は アゾレス諸島でヤマモモに近縁の Myrica faya の落葉から記録されたもので、一致する特徴も多いが、子嚢胞子の被膜は不明瞭、とあるので別種かと思う。
[参考文献]
Dennis et al. (1977): The fungi of the Azores. (Kew bulletin ; 32(1), p. 85-136).
Sherwood (1980): Taxonomic studies in the Phacidiales, the genus Coccomyces (Rhytismataceae). (Occasional papers of the Farlow Herbarium of Cryptogamic Botany ; 15, p. 1-120).
[初掲載日: 2021.09.21] //
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