Coccomyces sp. no.7
Coccomyces sp. no.7.
コッコミケス属菌。8月13日撮影。
[特徴]
アラカシの落葉上に発生する。表面、裏面のどちらにも生じる。上掲画像は裏面に発生した子実体。
子実体周辺の落葉は淡色に漂白され、周囲には黒褐色の細い帯線がみられるが、時に不明瞭。
子実体はクチクラ下に生じ、黒褐色、3~5角形で、各辺は内側に曲がって頂点がやや突出する(いわゆる芒星形)ものが多い。最大径 1.2 mm. 程度まで。
上面は僅かに膨らみ、稜線部には後に裂開する条線がある。成熟すると湿時に裂開して上面が小さく反転し子実層を現す。子実層面は平滑、淡灰色。--
子嚢は長円筒形、薄壁、先端は鈍頭円錐状、殆んど肥厚せず、メルツァー試薬に呈色しない。8胞子を束状に生じる。102-109 × 7.8-10.0 μm. --
側糸は糸状、基部付近には隔壁があり、殆んど分岐は見られず、径 2.5-3.0 μm.、先端は棍棒状あるいは槍状に膨らんで 3.5-5.0 μm. までになり、
上半にはほぼ無色で一様な内容物がある。被膜は見られない。--
子嚢胞子は糸状、薄壁、無色、射出された胞子は緩やかに曲がって弓形になり、先端は丸く、末端はやや尖る。隔壁は認められない。内容物は小さい油球がまばらにある。
薄い被膜があるがやや不明瞭、先端部では僅かに厚くなりキャップ状に見える。 80-92 × 1.0-1.2 μm.
[コメント]
アラカシ (Quercus glauca) 落葉上に発生するもの。初夏から秋にかけて比較的普通に見られる。
常緑カシ類の葉上に発生する Coccomyces 属菌は多く、京都でも区別できる複数種がアラカシ葉上に発生する。
Sherwood のモノグラフに該当しそうな種が見当たらず、その後中国などからもいくつかアラカシ上の新種が報告されているが、今のところ種名を決定できないでいる。
[別図2]
8月13日撮影。落葉表面に発生した子実体。周辺にある褐色の小点状のものは分生子殻だと思うが、詳細な観察ができていない。
[初掲載日: 2018.09.03]