Colpoma sp. no.3
Colpoma sp. no.3
コルポマ属菌。5月24日撮影。
[特徴]
落枝に生じる。子嚢盤は樹皮下から発生し、樹皮を破って黒色で細い唇状の子嚢盤が現れ、子嚢盤の長軸は枝の軸方向に一致する。
成熟後、湿ると上面中央が長軸のほぼ全長に亘って裂開して紡錘形になり、半透明乳白色の子実層が現れる。縁は黒色に縁どられ、僅かに隆起する。長径 2.5-3.5 mm.、短径は開いた状態で長径の 1/3 程度。--
子嚢は長い柄のある棍棒形、薄壁、先端は肥厚せず、メルツァー試薬に呈色しない。基部にかぎ形構造は認めにくい。8胞子をほぼ2列に生じる。175-260 × 17-23 μm. --
側糸は糸状、無色、隔壁があり、径 1.5-2.5 μm.、上半は緩やかに屈曲して鉤状になり、先端は丸く僅かに膨らむ。全体がゼラチン質の被膜に包まれる。--
子嚢胞子は細紡錘形、わずかに左右不対称で両端は尖り、無色、薄壁、平滑、中央部以外は細かな泡状内容物があり、51-57 × 5.4-5.8 μm.。全体に厚いゼラチン質の被膜があり、側部で厚さ 2 μm.、両端では 4.5 μm. までになる。--
托組織の詳細を確認できていないが、縁部は多角形の細胞からなり、黒褐色のヤニ状の物質に被われる。
[コメント]
ミズナラを主とする落葉樹林内の落枝片に発生していたもの。
落枝の枝は対生し、細長いV字形の葉痕には点状の維管束痕が3個あるのでカエデ属 (Acer sp.) のものだろうと思うが、周囲にそれらしい木は見当たらず、落葉も拾うことができなかった。
子実層は無色だが、肉眼では底面の色が透けてわずかに淡青灰色に見える。
Colpoma 属の子嚢胞子は典型的には糸状なので、細紡錘形の子嚢胞子を生じる本種は異質だけれども、他に該当しそうな属を思いつかない。
Johnston (1991) は子嚢胞子が楕円形の同属菌を報告している。
[参考文献]
Johnston (1991): Rhytismataceae in New Zealand 5. wood- and bark-inhabiting species in the genera Colpoma and Propolomyces. (New Zealand journal of botany ; 29, p. 405-410).
[初掲載日: 2023.09.24] //
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