Crocicreas sp. no.3
Crocicreas sp. no.3
クロキクレアス属菌。7月23日撮影。
[特徴]
子実体は群生する。子嚢盤は椀形から浅い皿状に開き径 1-1.5 mm.、子実層面は白色、古くなるとわずかにピンク色を帯びる。
縁は全縁、緩く波打つものも多く、僅かに内屈する。外面は平滑、白色、縁付近はルーペ下では薄く霜が降りたような微粉状に見える。
柄は中心生で乳白色半透明状、長さ 1-2 mm.。全体が軟らかい軟骨質で弾力がある。--
子嚢は長棍棒形、薄壁、先端はやや円錐状で肥厚し、頂孔はメルツァー試薬で青変する。8胞子をほぼ2列に生じる。46-58 × 4.5-5.4 μm. --
側糸は糸状、基部付近に隔壁があり上下同幅、径 2.5-2.8 μm.、上半には細かな泡状の内容物がある。--
子嚢胞子は長楕円形、無色、薄壁、両端近くに少量の油球がある。7.1-8.5 × 2.0-2.5 μm. --
托組織髄層は無色の菌糸からなる絡み合い菌糸組織、外皮層は厚さ 80-90 μm. で髄層との境はやや不明瞭。
ゼラチン化したほぼ平行に走る径 2-3.5 μm. の厚膜の菌糸からなる。菌糸は隔壁が多く、分岐と吻合があり、不完全な網目状に見える部分もある。
表面の菌糸はやや太く径 4-4.5 μm.、無色、薄壁、多くの油球を含む。表面には無色の砂粒状の結晶がまばらに付着する。
[コメント]
林道脇の地上の枯茎に発生していた物。寄主の種類は不明だが、茎は中空で表面には隆起した縦条が目立つ。セリ科だろうか。
Carpenter (1981) の検索表で落ちる Crocicreas cyathoideum (Bull.) Carpenter は、温帯域に広く分布する普通種で、
日本産の標本もキク科を始めとした様々な草本上から記録されている。
特徴がよく似ていると思うけれども、いくつかの変種があるうえに文献によって特徴にばらつきがあって判然としないので、クロキクレアス属の一種としておく。
[参考文献]
Carpenter (1981): Monograph of Crocicreas (Ascomycetes, Helotiales, Leotiaceae). (Memoirs of the New York Botanical Garden ; 33, p. 1-290).
[初掲載日: 2018.02.02]