Daldinia childiae
Daldinia childiae Rogers & Ju
チャコブタケ。8月23日撮影。
[特徴]
子実体は朽木上に発生する。普通は数個から十数個程度が固まって発生する。半球形から饅頭形、密生した子実体は不正こぶ状になる。直径 1-2.5 cm. 程度。
表面は赤褐色から茶褐色、粉状で平滑あるいは細かくひび割れるが、胞子放出後は黒色の胞子に覆われてほぼ黒色になり、周辺も胞子で黒く汚れる。
子嚢殻孔口はほとんど突出せず、目立たない。下面はくびれて基質に固着し、柄は無いか非常に短い。
内部は暗褐色からほとんど黒色、サクサクした感じの木質で幅 1 mm. 程度の同心円状の環紋がある。--
子嚢殻は子実体表面下に一層に形成される。長円形、高さ 1000-1320 μm. 程度。--
子嚢は円筒形、下半は細長く伸びる。8胞子を一列に生じる。先端リングはメルツァー液で青変する。148-186 × 7.0-8.6 μm. --
側糸は無色、隔壁が有り先端は細く鞭状。--
子嚢胞子は両端がやや尖る長楕円形、左右不対称、平滑厚膜、暗褐色。少数の油球を含む。
側面の膨らんだ側にほぼ全長に亘る直線状の発芽スリットがある。13.1-14.2 × 4.9-6.0 μm. --
子座組織は柵状の菌糸組織からなり、濃褐色厚膜の部分と無色薄壁の部分が交互に現れる。
[コメント]
カシ林内の倒木に発生していたもの。広葉樹の朽木上に群生し、ほぼ通年見られる。
子実体は比較的硬いが、古い子実体はキノコバエ類の幼虫と思われるウジが入っていることが多い。
腐朽材は白ぐされになり周辺には黒い帯線が形成される。表面に見える黒い粉状物は射出された子嚢胞子。
従来チャコブタケに当てられていた D. concentrica は別種であり、正しくは D. childiae らしい。
[別図1]
9月5日撮影。
[参考文献]
Ju, Rogers and San Martin (1997): A revision of the genus Daldinia. (Mycotaxon ; v. 61, p. 243-293).
Rogers et al. (1999): A reinterpretation of Daldinia concentrica based upon a recently discovered specimen. (Mycotaxon ; 72, p. 507-519).
[初掲載: 2009.09.07, 最終更新日: 2017.02.03]