Discocainia? sp. no.1
Discocainia? sp. no.1.
9月26日撮影。
[特徴]
ほとんど葉脈だけになった落葉から生じる。葉脈の表面は黒褐色の被膜に覆われ比較的硬い。その表面に一個ないし少数が発生する。
子実体は径 2-4 mm.、初めは平たい饅頭形や豆形などで硬く、表面は黒褐色でつやは無く、ややざらつく。
上面中央はややくぼむことが多く、基部は細くくびれるがほとんど無柄。
成熟すると上面がやや不規則な放射状に裂開して子実層を現し、縁は王冠状から後には反転してそりかえる。
子実層面は灰色ないしくすんだクリーム色で平滑。--
子嚢は細紡錘形で基部は長く伸びる。8胞子を束状に生じ、メルツァー液で呈色しない。250-330 × 11.5-17.0 μm. --
側糸は糸状、内容は無色で一様、隔壁は認めにくい。先端付近で時に分岐し、ゆるくカールする。ほぼ上下同幅で径 1.5-2.5 μm. --
子嚢胞子は弓形、先端は丸く末端はやや細くなる。無色薄壁。内容物はほぼ一列に油球が並び、隔壁は見られない。
全体が薄い無色の粘質状の被膜に覆われる。40.0-49.0 × 2.7-3.5 μm.
[コメント]
照葉樹林等の林床の落葉から発生する。主脈や葉柄付近に発生するものが多い。
発生している落葉は葉脈だけになっている事が多く種類の特定が難しいが、一種類ではなくカシ類やカエデ類のようだ。
最初良くわからず、Godronia 属あたりかと思っていたが Discocainia 属に当てはまると思う。
Discocainia treleasei は黒い子座状の組織から生じるとあり、その点も類似している。
落葉に生じる D. laciniata (Alb. & Schwein.: Fr.) Torkelsen & Eckblad は良く似ていると思うがそれよりも子嚢がずいぶん長い。
[別図2]
10月16日撮影。
[参考文献]
Hansen and Knudsen (ed.) (2000): Nordic macromycetes. v. 1. Ascomycetes.
Reid and Funk (1966): The genus Atropellis, and a new genus of the Helotiales associated with branch cankers of western hemlock. (Mycologia ; 58, p. 417-439)
Torkelsen and Eckblad (1977): Encoelioideae (Ascomycetes) of Norway. (Norw. journal of botany ; 24, p. 133-149)
[最終更新日: 2006.01.30]