Echidnodella? sp. no.1
Echidnodella? sp. no.1
エチドノデラ?属菌。5月20日撮影。
[特徴]
菌糸は生葉表面に薄く拡がる。褐色、厚膜、隔壁があり、分岐してやや放射状に拡がる。径 2.5-3.5 μm. 程度、菌足は見られない。
病斑中央付近に盾状子嚢殻を数個程度生じる。長円形ないし腕の短いY型、黒褐色、140-370 × 110-200 μm.、時に複数が融合して雲形になる。
上面はやや放射状に並ぶ厚膜の菌糸からなり、縁はやや裂片状、孔口等の特別な構造は認められない。
成熟すると上面が長軸方向あるいはX字、Y型等に裂開して子嚢が現れる。--
子嚢は広卵形ないし楕円形、やや厚膜、頂部は肥厚し、頂孔は盲管状、ほぼ無柄あるいは不明瞭な短柄がある。8胞子を塊状に生じる。34-49 × 17-22 μm. --
偽側糸は糸状、径 1.5-2.2 μm.、隔壁がある。--
子嚢胞子は楕円形、ほぼ無色のち淡褐色を帯び、やや厚膜、平滑、2細胞、隔壁部は括れる。各細胞はほぼ同長、大きな油球を一個含む。
18.5-20.0 × 7.1-8.3 μm.、末端側の細胞はわずかに細く、径 6.3-6.9 μm.、全体が薄い被膜に包まれる。
[コメント]
シキミ (Illicium anisatum) に発生していたもの。寄主の葉は黄色く退色するが、菌糸が拡がっている部分は緑色が濃く残り斑点状になる。Asterinales の菌だと思う。
菌足が無く、子嚢果は長形、との特徴を Katumoto (1975) の検索表で辿ると Echidnodella 属あるいは Lembosina 属に落ちるが、最終の鍵となる特徴が明瞭に判断できない。
Lembosina の特徴として植物病原菌類図説 (1992) には皮下子座が "角皮下あるいは表皮細胞内に形成され" とあるが確認できなかったので、
Echidnodella にあたりをつけて調べてみると、Stevens and Ryan (1939) は Echidnodella は側糸を欠く、としている。
一方、Hongsanan (2014) は、偽側糸があるとし、Echidnodella を Asterinaceae に、Lembosina を Aulographaceae に含めている。
他の文献も幾つか参照したが、どちらかと言えば Echidnodella 属の特徴にあてはまると思う。
国内ではアリドオシから E. damnacanthi Katumoto、シラタマカズラから E. psychotriae Katumoto、タイミンタチバナから E. rapaneae I.Hino & Katumoto が報告されている。
[参考文献]
Hongsanan et al. (2014): Revision of genera in Asterinales. (Fungal diversity ; 68, p. 1-68).
Katumoto (1975): The Hemisphaeriales in Japan. (Bulletin of the Faculty of Agriculture, Yamaguti University ; 26. p. 45-122).
Stevens and Ryan (1939): The Microthyriaceae. (Illinois biological monographs ; 17).
[初掲載日: 2023.06.15] //
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