Encoelia cubensis

Encoelia cubensis

Encoelia cubensis (Berk. & Curt.) Iturriaga, Samuels & Korf
エンコエリア クベンシス。9月19日撮影。

[特徴]
子実体はマメザヤタケの表面に群生する。初めは椀状、後には肉厚の皿状、さらには反り返って凸形のクッション状になり、直径 1-2 mm.。 子実層面は淡黄褐色から淡赤褐色、時にオリーブ色を帯び、縁はやや波打つ事がある。外面は基部に向かってやや濃色、平滑あるいはわずかに粉状。 柄は中心生で太く短い。肉は淡黄褐色でコルク質、KOH水溶液で淡黄色の色素を溶出する。 子実体周辺には白色あるいは淡赤レンガ色の菌糸が毛羽立ったマット状に広がる事がある。-- 子嚢は円筒形、8胞子をほぼ一列に生じる。先端はやや肥厚し、メルツァー液で呈色しない。76-95 × 3.2-4.3 μm. -- 側糸は糸状、隔壁がある。ほぼ上下同幅で少なくとも上半では分岐しない。内容物は一様でわずかに黄褐色を帯び、径 1.5-2.0 μm. -- 子嚢胞子は楕円形、ほぼ無色、平滑、やや大型の2油球を含む。5.7-7.2 × 2.6-3.2 μm. -- 托髄層はやや密な絡み合い菌組織、外皮層との境界はやや平行な菌糸層がある。外皮層はやや厚膜の丸みを帯びた直径 10 μm. 程度までの細胞からなる。-- 周辺の菌糸中に分生子が観察できる。分生子柄は菌糸から短く立ち上がり、単独、先端は握り拳状に膨れ、連続的に分生子が形成されるように見える。 分生子は無色、薄壁、単細胞で丸みを帯びた三角形ないし卵形、5.4-6.9 × 3.8-4.9 μm.。

[コメント]
マメザヤタケ (Xylaria polymorpha) のやや古い子実体に発生しているのをよく見る。 他のマメザヤタケの近縁種(例えば X. cubensis 等)からの発生は今のところ確認していない。 マメザヤタケの主に頭部(被子器が形成される部分)に群生するが、柄も含めて全体に広がる場合も多い。 子実体周辺に広がる菌糸は赤レンガ色を帯び(先端付近は白色)、 E. cubensis の不完全世代かどうかは確認できていないが、少なくともマメザヤタケの不完全世代ではないと思う。 熱帯地方からの記録が多い菌だが、中国からも報告されている。
*** 同一種と思われる菌が神奈川県にも産する事を神奈川キノコの会の中島稔氏から教えていただきました。

[別図2] 8月21日撮影。

[参考文献]
Iturriaga (1994): Discomycetes of the Guayanas. I. Introduction and some Encoelia species. (Mycotaxon ; 52(1), p. 271-288).
Zhuang (2004): Notes on Humarina xylariicola. (Mycosystema ; 23(3), p. 434-436).

[初掲載日: 2013.08.27]