Erioscyphella sp. no.3

Erioscyphella sp. no.3

Erioscyphella sp. no.3
エリオスキフェラ属菌。6月10日撮影。

[特徴]
倒木樹皮上に群生する。子嚢盤は有柄、浅い椀型に開き、縁はやや内屈する。直径 2 mm. 程度まで。 子実層面は平滑、黄橙色、外面は毛に覆われ、白っぽい。毛は肉眼ではくすんだクリーム色、ルーペ下では先端がやや黄褐色に見える。柄も同様の毛に覆われる。-- 子嚢は円筒形、先端はやや円錐状になって肥厚し、頂孔はメルツァー試薬で青変し、点状に見える。基部にはかぎ形構造がある。8胞子を束状に生じる。71.5-80 × 6.8-8 μm. -- 側糸は直線的糸状ないし細槍状、隔壁があり、子実層からはほとんど突出しない。径 1.5-2 μm.、上半は次第に膨らんで 3.2-4 μm. までになり、先端は少し細まって丸い。上半には一様な淡黄色の内容物がある。-- 子嚢胞子は糸状、緩やかに曲がって弓形になり、末端側はやや細まる。無色、薄壁、平滑、隔壁は認めにくい。34-40 × 1.4-2 μm. -- 托組織の詳細を確認できなかったが、表面の細胞は矩形状。外面の毛は表面細胞から立ち上がり、無色、薄壁ないしやや厚膜、隔壁があり、ほぼ全長同幅、先端は丸く、膨らまない。 表面は細かい顆粒状で、先端付近ではやや大型で粗くなる。淡黄色の内容物が少量あり、先端に黄褐色の不定形ヤニ状物が帽状に付着するものが多い。55-85 × 3-3.5 μm.

[コメント]
カシ類が主な常緑樹林内のかなり古い倒木に発生していたもの。 シロヒナノチャワンタケ科 (Lachnaceae) の菌だが、子嚢胞子が糸状、外面の毛先端にヤニ状の付着物がある等の形態的特徴から、Erioscyphella 属に該当するものだと思う。 Su et al. (2023) の検索表ではうまく絞り込めない。

[参考文献]
Haines and Dumont (1984): Studies in the Hyaloscyphaceae III: the long-spored, lignicolous species of Lachnum. (Mycotaxon ; 19, p. 1-39).
Su et al. (2023): Two new species of Erioscyphella (Lachnaceae) from southwestern China. (Current research in environmental & applied mycology ; 13(1), p. 16-33).
Tochihara and Hosoya (2022): Examination of the generic concept and species boundaries of the genus Erioscyphella (Lachnaceae, Helotiales, Ascomycota) with the proposal of new species and new combinations based on the Japanese materials. (MycoKeys ; 87, p. 1-52).

[初掲載日: 2024.09.21] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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